(ミニ論説)「和解」の次に考えねばならないこと(2009.2.5)

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地主側、岐阜県地方競馬組合側双方がようやく「和解」への道を
歩み始めた笠松競馬場土地明け渡し訴訟。
原告地主側が勝訴しても
笠松競馬が廃止となり、
他に使い道のない土地が返還され、
固定資産税だけが発生する。
そんな意味のない訴訟だっただけに
「和解」は当然の選択だったと思う。
だが、この訴訟を通して
考えなければならない点は残る。

そもそもこの訴訟、
「土地の明け渡し」が目的だったことを知らずに
参加していた地主が「目的」としていたものは
「賃料の引き上げ」だった。
つまり、多くの地主は「賃料」について、
組合側に不満を持っていたということなのだろう。
「競馬存続」のために強いられた「痛み」、
その「痛み」はいつまでも抱えたまま、
という訳にはいかない。
その先に「明るい展望」があるからこそ、
耐えることが出来る「痛み」なのだ。
「明るい展望」を誰も示すことが出来ずにいるのが現状だ。

「競馬場以外に使えない土地」
これは途中で訴えを取り下げた地主を見ても分かるとおり、
今回の「和解」の大きなポイントになった。
恐らく、今後の「競馬存続」を考える上でも
大きなポイントになるだろう。
だが、この1点ばかりが「存続」の根拠として
意味を持ち続けるようだと、
仮に笠松競馬がこの先、10年、20年と存続したとしても
その「笠松競馬」という存在は地元で「悪者」扱いを
受けるものに変わってしまう可能性もある。
「地方競馬は存続させるのも地獄。
廃止させるのも地獄。」
かつて上山競馬が廃止となった時、
色々な人から聞かれた言葉である。
笠松の場合、
この地主側から見れば「廃止」でやってくる「地獄」の
リスクが大きい。
だから「存続」という「地獄」を選ぶ、という話なのかもしれない。
でも「存続」も「地獄」なのだとしたら
それは悲しむべきことだ。
「競馬好き」にとって
「競馬」が「悪者」「地獄」呼ばわりされるのが
耐えられない話であるのは言うまでもない。
だが「競馬好き」ではない人にとって
「悪者」「地獄」が地域に存在するというのは、
「競馬好き」以上に全く理屈に合わない話に
感じられるものなのではないのか?

大事なことは「地獄」をどうやって「天国」に変えるか、
を話し合うことである。
これだけ経済情勢が冷え込んでいる中、
この議論をするのが困難な状況なのかもしれない。
だが今回の訴訟に関する一連の報道、
そしてこの訴訟とは無関係に馬主や厩舎関係者、
更に地元ファンなどから直接的、あるいは間接的に
聞こえてくる話の中に、
ある一つの共通点が浮かび上がってくる。
それはこんな嘆きだ。

「岐阜県地方競馬組合は我々の意見、提案を
しっかり聞いて、運営に役立てようとしていない。」

私は地元の人間ではないのでその現状については
あまりよく知らない。
だが多くの立場の人が共通して同様の話をするということは、
組合に対し、相当な不満が溜まっているということではないのか?
仮に急に「天国」にはならなくても
「天国」へ向かう取り組みが進行形の状態なら
「地獄」の中にある「痛み」にも耐えられる人は多い筈だ。
そうではないから、こんな訴訟に発展するのではないのか?

当ニュースが昨年11月18日(火)付で紹介した記事がある。

松原秀安・新岐南町長 笠松競馬存廃問題「単年度赤字での廃止は疑問」(2008.11.18)

当時の松原秀安・岐南町長の主張が正しいと
言うつもりはない。
「三年」というならその「三年」間のシナリオを明確に書いて
示さなければ意味はないからだ。
だが「単年度の黒字」だけのために、
「目先」だけしか意識のない「守り」の運営で
果たして将来の「天国」は見えてくるだろうか?
その点でこの松原町長の意見のような話が
もっと議論されてもいいように思える。
「税金投入」以外の選択肢をもっと考える必要があるのは
言うまでもないが、
タブー視すべき意見ではないと私は考えるのだが、
どうなのだろう?

次回の和解協議は3月27日(金)。
焦点となっている2011年度以降の賃料について
いい話し合いの上、決着することはもちろんだが、
原告地主はもちろん、馬主、厩舎関係者、ファンをも含んだ、
笠松競馬を「天国」にするための方向性が
(その方向性に多くの人が納得するものが)
岐阜県地方競馬組合から示されることを望みたい。

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