(論説)改めて「裁決問題」に思う(2011.3.4)
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27日(日)の阪神6Rにおける走行妨害での
降着・騎乗停止処分を受けた幸英明による不服申立てが、
2日(水)にJRAでの裁定委員会で棄却された件について、
当該レースにおける「被害馬」に騎乗していた藤田伸二が
自らのブログでこの件について3日(木)付で言及している。
ブログによると、
レース後にパトロール室に呼ばれた藤田は
裁決委員にその被害の程度について
「たいした事ではない」と説明。
幸にも降着になるほどの状況ではない、
と話したとのこと。
ところが降着・騎乗停止という決定に
「被害者」の立場である藤田自身も
かなり驚いたと書かれている。
藤田はブログの中で
2日(水)の裁定委員会の後に
幸と連絡を取ったことも明かしている。
裁定委員会には元騎手の岡部幸雄氏も
外部委員として出席していたが、
岡部氏からは何一つ意見は出なかったとのこと。
そして裁定は幸を退室させ、
役職員だけで「棄却」の決定を下したとしている。
この様子について藤田はブログの中で、
この裁定委員会について
『「幸ただ1人対競馬会役職員5名の「幸を落ち着かせる会」』
と表現している。
裁定委員会(藤田伸二の男道)
日本騎手クラブ会長の武豊も
この件について公式サイトでコメントを残している。
この中で武豊は幸が日本スポーツ仲裁機構に仲裁を求める場合、
日本騎手クラブ会長として、また個人としても、
幸を支える考えを表明している。
毎日考えなければいけないことばかりです(武豊オフィシャルサイト)
尚、複数のスポーツ紙の4日(金)付報道によると、
幸英明はこの件について
日本スポーツ仲裁機構も含めた外部機関への申し立ては
現時点では考えていない、としている。
----------------------
JRAは2008年のオークスにおける
トールポピーの進路の取り方における裁決結果が問題となった直後、
公式サイトで「走行妨害」の定義について説明している。
その説明については、
現在も公式サイト内に掲載されている。
走行妨害及び制裁について(JRA公式サイト)
こうした裁決の問題が発生する度に、
騎手をはじめとする関係者や競馬メディア、
更にファンから「走行妨害」の「定義・基準」についての議論が発生する。
しかしその「定義・基準」を個々の事例に当てはめた場合にどうなるのか?
が問題なのであって、
「定義・基準」そのものではないのでは?
と最近考えるようになった。
「審議ランプ」が点いたレースについては現在、
レース直後にパトロールビデオが公開されることになっている。
しかし本当に公開すべきなのは
そのパトロールビデオが公開された個々のレースについて、
裁決委員の間で「走行妨害の基準・定義」と
照らし合わせて交わされた、
議論の内容ではないだろうか?
騎手らに事情聴取している場合は、
その過程についても公開すべきだろう。
こうした情報の公開なしにパトロールビデオを見せられても、
何の意味も持たないと考えられる。
もし公開に時間がかかるのならば着順・払戻金発表後、
当日の夜以降に公式サイトや
翌日以降レーシングプログラムで公開する方法でも構わないと思う。
協力を得られるのであれば、
直後に発売される「週刊競馬ブック」「週刊ギャロップ」や
スポーツ紙等での公開という形でも構わないと思う。
問題はこうした裁決結果によって
「これでは騎手なんかやっていられない」という騎手や
「こんな裁決では馬券を買う気になれない」
というファンが出ないことが大切なのだ。
今回のように「不服申立て」による裁定委員会でも同様だ。
藤田伸二が指摘する
『「幸ただ1人対競馬会役職員5名の「幸を落ち着かせる会」』
ではないことをJRAは証明する必要がある。
この件について幸英明は
日本スポーツ仲裁機構へ持ち込む考えはないと報じられている。
競馬サークル内での改革を望みたい考えのようだ。
だがかなり困難なことのように思える。
武豊も先に紹介した公式サイト内で触れている通り、
「不服申立て」をしても結論が変わらないのが現状なのである。
裁定委員会が開かれていた2日(水)の昼間、
後藤浩輝は自身のツイッターで
まだ結論が出ていない時間帯に「裁決が覆る可能性」について
否定的な見方を示していた。
これは体質的な問題なのかもしれない。
今回の幸英明の件は発生する前日の26日(土)に
小倉で「油断騎乗」により騎乗停止処分を受けた黛弘人が
「競馬LAB」内でその騎乗について黛自身がコメントしている。
現役関係者コラム|トレセンLIVE|黛弘人騎手|3月3日(競馬LAB)
この記事について、
内容よりも非常に気になった点がある。
それは文末のこの記述である。
「尚、このブログで今の私の気持ちと今回の件の経緯について書かせて戴くことは、
JRAの裁決委員の方に許可を戴いております。」
ネットも含めたメディアに記事を書くのに、
どうして裁決委員の許可が必要なのか?
JRA内において「裁決委員」は神格化された存在なのかもしれない。
だから裁定委員会の外部委員に岡部幸雄氏がいても
何も変わらないのだろう。
こうした組織の中での「改革」は困難なことのように思える。
日本スポーツ仲裁機構などの外部機関を通した方が
近道のように思えるのだが・・・。
降着・騎乗停止処分を受けた幸英明による不服申立てが、
2日(水)にJRAでの裁定委員会で棄却された件について、
当該レースにおける「被害馬」に騎乗していた藤田伸二が
自らのブログでこの件について3日(木)付で言及している。
ブログによると、
レース後にパトロール室に呼ばれた藤田は
裁決委員にその被害の程度について
「たいした事ではない」と説明。
幸にも降着になるほどの状況ではない、
と話したとのこと。
ところが降着・騎乗停止という決定に
「被害者」の立場である藤田自身も
かなり驚いたと書かれている。
藤田はブログの中で
2日(水)の裁定委員会の後に
幸と連絡を取ったことも明かしている。
裁定委員会には元騎手の岡部幸雄氏も
外部委員として出席していたが、
岡部氏からは何一つ意見は出なかったとのこと。
そして裁定は幸を退室させ、
役職員だけで「棄却」の決定を下したとしている。
この様子について藤田はブログの中で、
この裁定委員会について
『「幸ただ1人対競馬会役職員5名の「幸を落ち着かせる会」』
と表現している。
裁定委員会(藤田伸二の男道)
日本騎手クラブ会長の武豊も
この件について公式サイトでコメントを残している。
この中で武豊は幸が日本スポーツ仲裁機構に仲裁を求める場合、
日本騎手クラブ会長として、また個人としても、
幸を支える考えを表明している。
毎日考えなければいけないことばかりです(武豊オフィシャルサイト)
尚、複数のスポーツ紙の4日(金)付報道によると、
幸英明はこの件について
日本スポーツ仲裁機構も含めた外部機関への申し立ては
現時点では考えていない、としている。
----------------------
JRAは2008年のオークスにおける
トールポピーの進路の取り方における裁決結果が問題となった直後、
公式サイトで「走行妨害」の定義について説明している。
その説明については、
現在も公式サイト内に掲載されている。
走行妨害及び制裁について(JRA公式サイト)
こうした裁決の問題が発生する度に、
騎手をはじめとする関係者や競馬メディア、
更にファンから「走行妨害」の「定義・基準」についての議論が発生する。
しかしその「定義・基準」を個々の事例に当てはめた場合にどうなるのか?
が問題なのであって、
「定義・基準」そのものではないのでは?
と最近考えるようになった。
「審議ランプ」が点いたレースについては現在、
レース直後にパトロールビデオが公開されることになっている。
しかし本当に公開すべきなのは
そのパトロールビデオが公開された個々のレースについて、
裁決委員の間で「走行妨害の基準・定義」と
照らし合わせて交わされた、
議論の内容ではないだろうか?
騎手らに事情聴取している場合は、
その過程についても公開すべきだろう。
こうした情報の公開なしにパトロールビデオを見せられても、
何の意味も持たないと考えられる。
もし公開に時間がかかるのならば着順・払戻金発表後、
当日の夜以降に公式サイトや
翌日以降レーシングプログラムで公開する方法でも構わないと思う。
協力を得られるのであれば、
直後に発売される「週刊競馬ブック」「週刊ギャロップ」や
スポーツ紙等での公開という形でも構わないと思う。
問題はこうした裁決結果によって
「これでは騎手なんかやっていられない」という騎手や
「こんな裁決では馬券を買う気になれない」
というファンが出ないことが大切なのだ。
今回のように「不服申立て」による裁定委員会でも同様だ。
藤田伸二が指摘する
『「幸ただ1人対競馬会役職員5名の「幸を落ち着かせる会」』
ではないことをJRAは証明する必要がある。
この件について幸英明は
日本スポーツ仲裁機構へ持ち込む考えはないと報じられている。
競馬サークル内での改革を望みたい考えのようだ。
だがかなり困難なことのように思える。
武豊も先に紹介した公式サイト内で触れている通り、
「不服申立て」をしても結論が変わらないのが現状なのである。
裁定委員会が開かれていた2日(水)の昼間、
後藤浩輝は自身のツイッターで
まだ結論が出ていない時間帯に「裁決が覆る可能性」について
否定的な見方を示していた。
これは体質的な問題なのかもしれない。
今回の幸英明の件は発生する前日の26日(土)に
小倉で「油断騎乗」により騎乗停止処分を受けた黛弘人が
「競馬LAB」内でその騎乗について黛自身がコメントしている。
現役関係者コラム|トレセンLIVE|黛弘人騎手|3月3日(競馬LAB)
この記事について、
内容よりも非常に気になった点がある。
それは文末のこの記述である。
「尚、このブログで今の私の気持ちと今回の件の経緯について書かせて戴くことは、
JRAの裁決委員の方に許可を戴いております。」
ネットも含めたメディアに記事を書くのに、
どうして裁決委員の許可が必要なのか?
JRA内において「裁決委員」は神格化された存在なのかもしれない。
だから裁定委員会の外部委員に岡部幸雄氏がいても
何も変わらないのだろう。
こうした組織の中での「改革」は困難なことのように思える。
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近道のように思えるのだが・・・。
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