(レポート)南関東公営競馬 川崎で再開(2011.4.13)
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2011年4月12日(火) 川崎競馬場
この日の朝、
首都圏でも大きな揺れを感じる地震がありました。
東日本大震災から1ヶ月が経ちましたが、
被災地を中心にまだ余震が続いています。
品川駅で乗り換えた京浜急行は、
その余震の影響でダイヤが乱れていました。
川崎競馬場に到着したのは11時30分過ぎでした。
(写真は携帯電話で撮影しています)
京急川崎駅から途中で稲毛神社に立ち寄り、
それから競馬場へ向かったのですが、
角のコンビニエンスストアのあたりから
開門を待つ人達が溢れていました。
3月11日(金)の震災以降、
首都圏では中央競馬も、地方競馬も、
競馬開催はもちろん、
場外発売が行われない状況が続いていました。
待ち遠しかった「競馬」再開に多くの人が駆け付けました。
年配の方を中心に
この川崎競馬場の「常連」とも言える人達同士が
「久しぶりの再会」となるケースもあったようで、
いつもの競馬談議とは別に、
「地震の時、どこで何をしていた」といった会話が
繰り広げられていました。
場内には「がんばろう日本!」のコピーとともに、
この開催が復興支援競馬として行われることを伝える幕などが
掲げられていました。
売上の一部が被災地に拠出されることも
アナウンスされていました。
例年なら4月は「スパーキングナイター」のスタートとなる川崎競馬。
しかし震災後の電力事情を考慮して、
昼間開催に変更となりました。
使用するスタンドも1号スタンドの1階、2階の一部と4階のみ。
その他の場所は閉鎖となりました。
昨年ギネス認定を受けた「川崎ドリームビジョン」も映像放映はなく、
大型ビジョンの中央に着順表示のみが行われました。
また競馬番組も川崎競馬の在厩馬中心とし、
出走馬輸送用燃料の節減にも取り組む姿勢を見せています。
1Rのパドックでは、
騎乗合図の前に関係者や所属騎手たちが黙祷。
その後、ウイナーズサークルでは、
神奈川県川崎競馬組合古尾谷光男管理者と
今野忠成騎手会長が挨拶。
今野会長は
「競馬を通して我々一人一人に出来るのは、
精一杯のプレーをすること」
と力強く決意を語りました。
やはり震災後ということで、
この日の場内は重苦しい雰囲気というか、
ピーンと張り詰めた空気に包まれていました。
そんな空気が少しだけ和んだのは
今月デビューの新人騎手・田中涼の紹介セレモニーの時でした。
彼も震災で自分のデビュー戦がどうなるのか、
気がかりであったに違いありません。
そのデビュー戦は本日13日(水)の川崎2Rとなりました。
所属厩舎である川崎・武井榮一厩舎の管理馬、
ヴァイタルジョウに騎乗します。
最終レース後には正門横で
南関東所属騎手有志が募金箱を持って一列に。
募金活動の列には「鉄人」佐々木竹見さんの姿もありました。
関係者一人一人が震災後、
こうして競馬を再開することの意味を考え、
行動している様子が感じられました。
この日の場内の様子、騎手や関係者の様子を見ながら、
私はあるキャッチコピーを思い出していました。
それは今から4年前の2007年、
水沢競馬場に大きく掲げられたこのキャッチコピーでした。
「走れる歓びを力に、前へ」
この写真は2007年4月の岩手競馬開幕時に
撮影したものです。
前月の岩手県議会で岩手県競馬組合への融資案が
紛糾の末にようやく可決。
何とか新年度の開催に漕ぎ着けた岩手競馬関係者たちの
「また競馬が出来る」事への嬉しさと感謝の気持ちが込められたコピーでした。
今回は災害ですから、
当時と事情や背景は異なります。
それでも、その震災では多くの人命が奪われ、
避難所生活を強いられている人も多数という状況下で
「競馬を開催する」ことの意味を考えなければならず、
いつ再開出来るのか、先が見えない時期もあっただけに、
不完全な状態ではありますが「再開」出来たことへの嬉しさは、
馬を走らせる関係者たちにも、
馬券を買うファンの側にもあったように思えます。
東日本大震災をきっかけに
この「歓び」「嬉しさ」を再認識した、という言い方は、
被害に遭われた方々のことを思えば、
少々不謹慎かもしれません。
しかし、その後の岩手競馬の変貌ぶりからも見えてくる通り、
こうした「歓び」「嬉しさ」は時間の経過とともに、
その意識は薄れてしまいます。
それは「競馬」を運営するのが人間である以上、
仕方のないことなのかもしれません。
賞金カットなど取り巻く環境の変化、
広告代理店等によるプロモーション手法の変化、
協賛企業との関係等、
「歓び」「嬉しさ」を変えてしまう要素はたくさんあります。
だからこそ、こうした「再開の日」の記憶を
持ち続けていなければいけないのだと
改めて思いました。
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