ユタカよ、あの一言をもう一度


本日も夜の更新です。
この時間に更新することに決めてしまえばいいのに、
とアドバイスしてくださる方もいるのですが、
早く帰れないことも多いのですよ。
酒を飲みたい夜もあるしね(笑)。

今朝も「競馬ニュース」で手一杯になってしまったのですが、
武豊が「はなまるマーケット」に出る、
なんて記事は書かなくても良かったですね。
少し反省・・・。
でもログ解析を見ていたら、
TBSの社内らしきところからアクセスされていて、
思わず笑ってしまいましたが・・・(笑)。

さて、やはりこのニュースについて書かないと
イカンですかね。

(速報)内田博幸(大井)、片山宏史(鷹野宏史・高知)がJRA騎手免許試験合格(KANKANの競馬ニュース)

と言っても書くことは毎年同じになっちゃうんだよなあ・・・。
「吉田稔 不合格」みたいなキーワードで検索して、
昨年、この日記に書いた記事をご覧になられた方も多いようですが、
その話も含めて、言いたいことは昨年と全く変わっていません。
14日(木)の園田競馬場に登場した
「2000勝以上を挙げているジョッキーたち」
に試験を課すこと自体、どうかしてますよ。
彼らの偉業に対するリスペクトの気持ちが全然ない奴らだね、
JRAというのは・・・。
どんな競馬場でも2000も勝つというのは、
並大抵のことではない筈なのですが・・・。

毎年同じ話も何なので、
今年は少し角度を変えて書いてみましょう。
13日(水)に発売された
「競馬最強の法則 2008年3月号」(KKベストセラーズ)は
もうご覧でしょうか。
お手元にある方は35ページからの
赤岡修次(高知)のインタビュー記事をご覧くださいませ。
書かれているのは大月隆寛さんです。
この記事、今このタイミングで読むと、
結構、考えさせられることがあるような気がします。
赤岡が出場して3位に入った昨年12月のWSJSの時の話、
彼の生い立ちの話、
WSJSでは高知競馬で乗っている時の2年分以上の稼ぎがあった話、
年末年始も高知、福山で大活躍だった話、と色々あるのですが、
特に印象深く思った箇所を引用します。

『(取材中)ちょうど、ある競馬場の若いジョッキーが
自ら命を絶つという話が聞こえてきていた。
それを耳にした高知の調教師のひとりがつぶやいて曰く、
「あほやなあ・・・・・死ぬくらいやったら、
いっぺん高知見てからでも遅うないのに」
そうだこれが地方だ。地方の競馬場だ。
乗り数がなかったり、自分の仕事や未来に絶望して
死ぬほど思い詰めるくらいなら、いっぺんうち来て
しばらく仕事してみんか―そんな声が当たり前に出てくる』

記事中で赤岡自身も語っています。

『だから、今高知に短期免許で乗りに来てる子たちだって、
何かをつかんで帰ってもらいたいんですよ。
(中略)
だって違う競馬場で乗る、ってのは絶対勉強になるはずなんです。
それも調教じゃなくて実際のショウブに、
ゲートから出てお客さんの前で乗る、
そうやって覚えることってものすごく多いんですから』
『(JRAの若い騎手で地方で修業したいという者が)
いるみたいですよ。
僕が聞いたわけじゃないですけど。
でも、どうもJRAが許してくれないみたいで。
許しちゃうと逆に今度は地方の僕らの短期免許も
断れなくなるから、かなあ。(後略)』

大月さん、もし見てたら、
引用が長いことをお許しくださいませ。
でもここ、物凄く重要だと思ったモンで。

これを読んですぐに思い出したのは、
アンカツのJRA移籍の時に出た
「ダブル免許」制度についての議論。
その当時、武豊が雑誌(どこの雑誌だったかは失念)の取材で
こんな内容のことを答えていたのを覚えています。

「ダブル免許制はJRA所属の我々にもメリットがある。
もし認められるなら、平日の大井で乗ってみたい。」

この発言、今のユタカには言えるかなあ・・・。
恐らく、これは彼の本心だと思うのですが、
今だと、取り巻き連中が許さないかもしれませんね。
賞金の安いところで、
落馬負傷されたり、走行妨害で騎乗停止になったりした場合、
収入減に陥るのは騎手本人だけではないのが、
今のJRAリーディング上位騎手達ですから。
平日の地方競馬なんて、
彼らにとってはリスクでしかないでしょうから。
恐らく周囲は彼を黙らせるでしょう。
周囲というのは彼の周辺でビジネスをする連中であり、
JRAも含まれているかもしれません。
でもそれでもユタカには、
もう一度同じ事を言って欲しいのだけど。

昨年のレディースジョッキーズシリーズ(LJS)で
増沢由貴子を見ていてこんな事を思ったのは、
私だけではないでしょう。
1年間、JRAでロクにレースに乗っていない騎手が、
スタートから思い切りのいい逃げの手に出るだけの
技術があるとは・・・。
LJS第3戦が行われた浦和では、
エキストラ騎乗で回ってきた全くの人気薄の馬を
勝たせてしまったし・・・。
彼女に限らず、
「馬に乗る」ことについての基本的な技術は
JRA競馬学校の卒業生たちは、
恐らく高いのだろうと思います。
でもその技術を活かす場がありません。
外国人騎手、地方競馬のリーディング上位騎手たちの台頭・・・。
実力の世界ですから、
持たざる者にチャンスが回ってこないのは仕方がありません。
でもその「実力」を磨く場所、アピールする場所さえないのが、
今のJRA若手騎手たちの現状では?

一方で高知競馬のように、
「ヨソ者」を温かく迎え入れるところもある。
その背景には「人手不足」という別の問題もあるのかもしれませんが、
制度が許せば、高知は恐らくJRAの若手だって受け入れるでしょう。
高知以外にもそんなところはあるような・・・。
「地方→中央」の一方通行であるが故に出てきた
「ダブル免許制度」待望論ですが、
JRAにとっても無意味な制度ではない筈です。
そんなに若手を腐らせておきたいのでしょうか?
海外とか地方とか、ヨソの上手い人を呼んできて、
レースの質を維持するやり方も意義はあるでしょう。
でもそれでは生え抜きの人が育ちません。
それは本当にあるべき姿なのでしょうか?

だからこそ、武豊にはもう一度、
「ダブル免許」について語って欲しい。
私はそう思います。
そしてもう一度、議論をし、制度化して欲しい。
それは地方競馬だけの為ではない、
中央競馬の利益にもなる、
日本の競馬全体の利益であると私は考えます。

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プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

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