今の地方競馬に可能でしょうか?


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3着はマヤノリュウジンか・・・。
29日(日)の夜はこの馬のおかげで、
早い時間帯から寝込んでおりました(笑)。

でも前日付の日記で書いた、地方競馬における「中身」の話は、
今回のスプリンターズSで3着に入ったマヤノリュウジンがいい例なのだと思います。
専門紙に厚い印が集まっている馬を簡単にハナに行かせて、
そのまま押し切られてしまい、
結果は「専門紙の印の通リ」などというレースに魅力を感じる人が、
果たしてそんなにたくさん存在するでしょうか?
単勝15番人気の馬が3着に入るような競馬だからこそ、魅力的だと思うのですが・・・。

2009年の事でした。
この年、東京在住の私が、
栄冠賞やリリーカップ、イノセントカップなどといった門別の重賞競走における現地レポートを
「新・競馬ニュース」でアップしていた為に、色々な人に驚かれたことがありました。
実は当時、ある馬主さんに「契約エージェント」という肩書の入った名刺を持たされて、
門別の厩舎地区を回っていたのです。
道営の調教師さんの元を1件1件訪ねて、
「オーナーさんが手放しそうな馬はいませんか?」と声をかけていました。
まるで訪問セールスのような感覚だったことを覚えています。

その馬主さんが探していた馬は「強い馬」ではありません。
弱くてもコンスタントに走ることが出来る(月3~4回程度)馬でした。
コンスタントに走ることが出来れば、出走手当だけでもそれなりの金額になります。
それを主な収入源としてビジネスにしていた馬主さんでした。

探していたのはそんな「丈夫な馬」でしたから、「買ってはいけない馬」もいました。
もちろん、脚元が弱い馬は論外でしたが、
(だから訪問する相手は調教師さんだったのです。「先生を信用してますよ」という話です。)
ゲート入りに問題がある馬もNGでした。
発走調教再審査などを課せられて、
レースに出走できない期間がある馬ではどうにもなりませんので。
だから調教師さんから電話があって、売りたい馬の名前を告げられると、
すぐにNARのサイトでその馬の出走歴をチェックする習慣が身についていました。
変にレース間隔が空いていれば、「先生、これは一体・・・?」と言えますしね。

結果的には道営の調教師さんと誰一人面識がない中で門別に行く、
などという無謀な話でしたので、
ロクな実績を残すことが出来ず、道営のシーズン終了後にクビになったのですが、
この経験が私の「地方競馬」に対する見方を変えたような気がします。

私がそんな形で門別の厩舎を回っていた前年の2008年、
岩手競馬が業務の「民間委託」を図るべく、日本ユニシスと交渉していたのですが、
「守秘義務契約」という「入り口論」で交渉が難航して、
最終的には「決裂」という結果に終わったことがありました。
当時、日本ユニシスは交渉のテーブルで「守秘義務契約」を主張する一方で、
地元メディアに対して岩手競馬の問題点を次々に指摘していたのですが、
その中に「レースで勝とうとしない馬主」の話がありました。
門別の厩舎を回りながら、この話の意味が良く理解できたような気がします。
今、目の前にあるレースよりも「次走」の事を気にしながら走る。
その「次走」がG1レースなら理解できますが、「次走」も今回と同じ下級条件戦。
馬券を買って見ている側の立場では何の意味があるのか、全くわからないのですが、
「馬を走らせる側」には大きな意味がある。
いや、彼らにしか意味が無いからこそ問題なのですが、
そんな事は全くお構いなし、というのは果たして・・・?

当時、この日本ユニシスの指摘に反論した地方競馬関係者は
いなかったと記憶しています。
「反論がない」ということは、「その指摘は正しい」ということになってしまうのですが・・・。
今日、IPATで地方競馬の馬券を買うことが出来るようになって、
その「異常さ」に気づいてしまった人もいるのではないでしょうか?

先日、愛知県競馬組合が名古屋競馬経営改革委員会の「経営改革案」に基づく、
「名古屋競馬改革」の工程表を発表していました。
その中に「スターホース、スタージョッキーの育成」という項目がありました。
別に「スターホース」を作らなくてもいいと思います。
必要なのは下級条件も含めた全体のレベルアップではないでしょうか?
その為に必要なことは「賞金アップ」ではないでしょうか?
「手当」ではなく、「賞金」を奪い合う競馬こそが求められているのではないでしょうか?

果たして、「賞金アップ」などということが今の地方競馬の経営体力で可能なのか?
「IPAT効果」「J-PLACE効果」で新たに手にした資金を
「賞金」に回すことは可能なのか?
そもそも「IPAT」「J-PLACE」にそこまでの資金をもたらすほどの効果があるのか?

私が「中央・地方一体化」を主張する意味が少しわかって頂けましたでしょうか?
恐らく南関東以外の地方競馬が個々に解決するのは困難な問題だと、
私自身は思っています。

長文になってしまい、申し訳ありませんでした。


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プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

※「プロフィール詳細・経歴」もご覧ください

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