関東の競馬好きだからこそ覚えている話


今朝の「新・競馬ニュース」の更新ですが、
やはりこの記事を作成しない訳にはいかないだろうと思い、
JRA公式サイトに情報がアップされるのを待っていたため、
作業が遅くなりました。

小島貞博調教師亡くなる(新・競馬ニュース)
 

スポーツ紙の報道では死因は自殺とのことですが、
JRA発表の情報ではさすがに触れられていませんでした。
従って私も「新・競馬ニュース」では死因についての記述はなしということで。
代わりにこんなお話でも。

2010年までKBS京都の競馬中継におけるキャスターを務められていた
講談師・太平洋さんの「競馬講談」に、
「小島貞博物語」というものがあったのを記憶しています。
その中にこんな話がありました。

小島貞博調教師の騎手時代、
師匠であった戸山為夫調教師は預託馬が出走する際、
その大半を弟子の小島貞博騎手、小谷内秀夫騎手の二人に託していて、
この二人以外はリーディング上位騎手であっても
騎乗依頼をすることはあまりありませんでした。
あるオーナーがこの点に苦言を呈した所、
戸山調教師は
「だったら今すぐ預っている馬を他の厩舎に持って行ってくれ」
と突っぱねていたのだとか。

講談で語られる話ですから
本当にそんなモノの言い方をしていたのかは不明ですが、
その師弟関係が強固なものであったことは
当時は競馬初心者だった私もすぐにわかりました。
この話は関東在住の競馬好きだからこそ覚えている話なのかもしれません。
あの頃、既に競馬界は「西高東低」の状況で、
関西馬が毎週のように東京・中山・福島・新潟の各競馬場に遠征し、
勝ち星を積み上げて帰っていくのが当たり前になっていました。
しかしどの関西の厩舎も
その日の出走馬が1~2頭の時は所属騎手を遠征させず、
関東のリーディング上位騎手に騎乗依頼をしていました。
岡部幸雄元騎手を中心とした「岡部ライン」と呼ばれる
騎手ラインの存在が語られるようになったのもこの頃だったと思います。
この「岡部ライン」の騎手か、
武豊騎手や河内洋騎手(現調教師)などがG1レースなどで東上する関西の騎手に
騎乗依頼をするのが、
当時の関西の厩舎においては普通でした。

しかし戸山為夫厩舎だけは違っていました。
その日は古馬500万下に1頭だけ出走させるなどという場合でも、
東京や中山だけではなく、
福島や新潟でもその1頭の為に駆け付ける
小島貞博騎手の姿があった事を覚えています。
1993年に戸山調教師が亡くなった後に主戦騎手を務めた
鶴留明雄厩舎の管理馬でも同様の状況が見られました。

「騎手を育てる」のも調教師の仕事であるとはいえ、
これほど強固な師弟関係というものは
今ではなかなか見られるものではないと思います。
もちろんこうした話に「こうあるべき」というものはないのですけどね。
一人のオーナーが1頭の馬を買うのにも
7~8桁の金額がかかる競馬の世界ですから、
「ビジネス」という側面で考えなければならない話もあります。
でもそれは当時も今も同じこと。
2冠馬ミホノブルボンはそんな状況下で登場したスターホースでした。

そのミホノブルボンでも、
後のチョウカイキャロルやタヤスツヨシで勝った時もそうでしたが、
派手なG1の表彰式などで戸惑った表情を浮かべていたのを思い出します。
タヤスツヨシでダービーを勝った時などは
最終レース後のレース回顧イベントで
オープンカーに乗って登場するという派手な演出もあったのですが、
武豊騎手あたりならば笑顔で手を振ってファンの声援に応えるところを、
オープンカーでも硬い表情のままだったような。
寡黙というか、職人気質というか・・・。

どうしてこんな事になってしまったのかはわかりません。
もしかして何かを抱え込んでいたのかも・・・。
残念でなりません。
ご冥福をお祈りします。

  • Yahoo!ブックマークに登録
  • Google Bookmarksに登録
  • はてなブックマークに登録
  • del.icio.usに登録
  • livedoorクリップに登録
  • Buzzurl(バザール)に登録

関連記事

ホースパーソン?
昨日付の日記を書いた直後にTwitterで-あっ、「トラックマン」よりもよく使わ...
トラックパーソン?
あまり長々とした日記を書いている時間がないので、こんなネタでも。「カメラパーソン...
ラガーレグルスとゴールドシップ
今朝はこのニュースに関して少々。ゴールドシップ出遅れに苦情など94件 JRAの関...
ため息混じりの日記
私が中央競馬開催日の前夜にアップしている「例の手法」ですが、この「例の手法」に関...
果たして「やる気スイッチ」は・・・?
Twitterでも少しだけ触れましたが、ホッコータルマエを素直に信じて1着固定の...
どうすることも出来ない
日記の更新が遅くなりまして申し訳ありません。昨日付で書いた「最大公約数」の話につ...
最大公約数
自宅アパートにおります。本日付の日記で何を書くべきか悩んで既に1時間半。昨日22...
この日記
無理矢理に買い目を絞ろうとして悩んだ結果、予想記事の作成にかなりの時間を要してし...
函館競馬開幕
今日から函館競馬が始まりました。イカ、ウニ、カニが食いたい・・・。谷地頭の温泉で...
プリンスオブウェールズS
プリンスオブウェールズSに出走したスピルバーグは6着。最後の直線に入った瞬間は、...

プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

※「プロフィール詳細・経歴」もご覧ください

私・菅野へのご連絡は以下のメールアドレスまでお願いします。
kankan@weekenddream.jp

月別アーカイブ

私・菅野一郎が運営するコンテンツです

WEEKEND DREAM
このサイトを中心に活動中です

新・競馬ニュース
競馬界の最新ニュースをお伝えします

気ままな競馬ノート
競馬に関する読み物はいかがですか?

競馬・極私的勝負メモ
馬券・予想下手な管理人が馬券・予想に強くなるためのメモ書きです。

私・菅野のTwitterはこちら

※「新WEEKEND DREAMメルマガ版」は一時休止中です

携帯用アフィリエイトサービス

競馬・極私的勝負メモ

powered by moondakota 

このサイトを購読する