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「藤田菜七子は南関東のオレたちが育てたんだ」

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24日(木)、浦和競馬場で藤田菜七子騎手が初勝利を挙げました。

と言っても、所属するJRAのサイトに
「藤田菜七子騎手初勝利」の文字はまだありません。
で、恐らくそう遠くない時期にJRAのレースで彼女が勝利すると、
「開催競馬場・今日の出来事」のページに「初勝利」の記述が出てきます。
その理由は競馬ファンならご存知ですよね。

ファンにとっては「当たり前」の理由です。
でもその理由を競馬を全く知らない人に説明してみましょう。
競馬を全く知らない人が納得できるような説明ができるでしょうか。
案外、難しいと思いますよ。
で、説明しているアナタもある種の矛盾に似た何かに気が付く筈です。
この国の競馬制度が抱える問題点というべきかもしれませんが・・・。

藤田菜七子騎手はデビュー以来、
所属するJRAの競馬場以外に、
川崎、高知、そして昨日の浦和と3つの地方競馬で騎乗しました。
いずれの競馬場でも多くの騎乗機会がありました。
もちろん、師匠の根本康広調教師をはじめとして、
様々な方々が奔走した結果なのでしょう。
でも私はある種の不安を感じていました。

昨年の黒船賞(高知)でのことでした。
当時、浦和・小久保智厩舎から2頭が高知に遠征して出走していました。
ジョーメテオには東川公則騎手(笠松)が、
ファイヤープリンスには吉原寛人騎手(金沢)がそれぞれ騎乗していました。

東川公則騎手は前年の笠松グランプリにジョーメテオが出走した際にも手綱を取っています。
地元の騎手ですからコースを熟知しています。
あり得る選択だったと言えるでしょう。
吉原寛人騎手は期間限定騎乗なども含め、南関東での騎乗機会も多い騎手です。
南関東の関係者とも太いパイプがあります。

でも当時、ある南関東のメディア関係者のTwitterに、
こんな気になる内容のツイートがありました。

「南関東のレースだけではなく、調教で乗っている騎手もいる筈なのだけどなあ。
そんな騎手はどんな想いでこの様子を見ているのだろう?」

高知の騎手でも、南関東の騎手でもなく、
別の競馬場に所属する騎手を起用したことに疑問を呈する内容でした。
私よりも現場を知っている筈の人ですから、
「正しい」「正しくない」とは別に、
「そんな見方をしている人も中にはいるのか」と思って、
そのツイートを見ていたことを覚えています。

今回の藤田菜七子騎手に関しても、そんな不安がありました。
交流戦で乗るJRA所属馬はともかく、
南関東の馬に関してはどうだったのでしょうか?
調教で乗っている騎手もいたと思うのですが・・・。

でもそんな話は全く聞こえてきません。
それどころか、「初勝利」の映像で見た、
的場文男騎手(大井)が彼女を祝福する姿からは
こうした傾向を歓迎しているようにさえ見えました。
的場文男騎手だからこそなのかもしれませんが。
でもその姿はカッコ良かったなあ。
勝った藤田菜七子騎手よりも的場文男騎手の方が印象に残りました。

藤田菜七子騎手はいずれはJRAでも勝利することでしょう。
でもなかなか騎乗馬に恵まれない状況が続くと思われます。
(同期よりはいい環境と言えるかもしれませんが)
だからこうして交流戦で南関東の競馬場にやってくる度に、
南関東の厩舎関係者が彼女に騎乗依頼をします。
どんな競馬場でも騎乗機会が増えれば、騎手としての技術は向上するでしょうから、
やがて藤田菜七子騎手がJRAでも評価を集めるようになった時、
南関東の厩舎関係者の中にはこんなことを言い出す人がいるかもしれません。


「藤田菜七子は南関東のオレたちが育てたんだ」


なんかカッコいいなあ・・・。
実際にそんな話が飛び出すようになるといいのだけど。


でもそうなると競馬における「所属」の意味、
そしてあるべき姿を問い直すべきかもしれませんね。
もちろん賛否両論あるでしょうし、様々な感情論もあるでしょうから、
簡単に語ることができる話ではないことは承知の上で、ということで。



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