(重賞回顧)2004年第58回セントライト記念~優勝馬:コスモバルク~
mixiチェック
五十嵐冬樹騎手はきっと、
スマートストリームよりも前には出たくなかったに違いない。
1コーナーは大きく回り、
あえてコースロスをしているように思えた。
1コーナーから2コーナーへ向かう間も
がっちりと手綱を持ち、
前に行きたがるコスモバルクに
我慢を促しているように見えた。
弥生賞を勝ち、
皐月賞2着で挑んだ日本ダービー。
道営・ホッカイドウ競馬はもちろん、
全国の地方競馬ファンの期待を背負っての出走だった。
しかし結果は8着。
1000メートル通過57秒6という、
あり得ない超ハイペースに巻き込まれてしまったコスモバルクは、
4コーナーで先頭に立つも、
直線で馬群に飲み込まれてしまった。
課題ははっきりしている。
道中で「我慢」することを覚えなければならない。
この秋の最大目標、菊花賞はダービーよりも更に600メートルも長い、
3000メートル戦なのだ。
「我慢」が出来なければ、
乗り越えることは難しい。
トライアルのセントライト記念は大きな課題を抱えてのレースだった。
その「課題」を克服出来たとは言い難い。
2コーナーでスマートストリームの後ろで我慢し切れず、
ハナに立ってしまった。
馬上の五十嵐冬樹騎手の心境はどうだったのだろうか?
思わずため息が出てしまったコスモバルクファンも
少なくなかったに違いない。
しかし次の瞬間、
このコスモバルクについて、
新たな驚きを覚えることになる。
1000メートル通過58秒8。
明らかに速い。
しかしこの速い流れのまま、
コスモバルクは4コーナーから直線へ。
中山の急坂を登る。
後方からトゥルーリーズンが、
モエレコンドルが、
そしてホウキバウェーブが迫る。
しかし一度奪ったハナを譲ることはなかった。
コスモバルクはそのまま先頭でゴール。
そして着順表示板の下にある走破タイムに、
場内は騒然となる。
2分10秒1。
芝2200メートルのレコードタイムである。
中山のコースレコードはもちろん、
JRAレコードをも更新してしまう、
大変なタイムを叩き出してしまったのだ。
3歳馬である。
JRAのレースを使う度に、
北海道と本州の競馬場を往復している地方馬である。
菊花賞に向けての「課題解決」とは言い難いが、
別の意味で「強さ」を示したセントライト記念となった。
このJRAレコードは現在も破られていない。
9月19日(日)
中山11R
第58回ラジオ日本賞セントライト記念(G2)
中山・芝2200メートル
1着7枠13番コスモバルク(56・五十嵐冬樹) 2分10秒1
2着3枠 4番ホオキパウェーブ(56・藤田伸二) クビ
3着8枠14番トゥルーリーズン(56・大西直宏) クビ
4着4枠 6番モエレエルコンドル(56・田中剛) 1/2
5着1枠 1番エスユーグランド(56・柴田善臣) 1 1/2
関連記事
- (重賞回顧)2011年第12回ジャパンカップダート~優勝馬:トランセンド~
- 「これがドバイワールドカップ2着の実力!!」と言ってしまうのは安易すぎるだろうか...
- (重賞回顧)2006年JBCマイル(第6回JBCスプリント、川崎)~優勝馬:ブルーコンコルド~
- 11月5日(月)は川崎競馬場でJBC競走(クラシック・スプリント・レディスクラシ...
- (重賞回顧)2003年第128回天皇賞・秋~優勝馬:シンボリクリスエス~
- 「どうしてそんな競馬になってしまったのか?」について、改めて書くことに何の意味も...
- (重賞回顧)2004年第65回菊花賞~優勝馬:デルタブルース~
- 初出走、初騎乗、初勝利、初めての重賞勝利、そして初めてのG1勝利・・・。今日の日...
- (重賞回顧)2007年第12回秋華賞~優勝馬:ダイワスカーレット~
- 今改めてこのレースの単勝オッズを見て、ある事に気がついた。1番人気馬ウオッカは2...
- (重賞回顧)2010年第23回マイルチャンピオンシップ南部杯(盛岡)~優勝馬:オーロマイスター
- 4コーナーで驚きの声を挙げた人は多かったのではないか。セレスハント、オーロマイス...
- (重賞回顧)2005年第39回スプリンターズS~優勝馬:サイレントウィットネス~
- 「この馬、強いよ・・・」ゴールの瞬間、思わず呟いてしまった。サイレントウィットネ...
- (重賞回顧)2010年第56回オールカマー~優勝馬:シンゲン~
- 前年の天皇賞・秋以来の実戦がオールカマー。長期休養明けの一戦だった。重賞2勝を挙...
- (重賞回顧)2002年第56回セントライト記念~優勝馬:バランスオブゲーム~
- 2002年は新潟の競馬ファンにとって特別な年だった。新潟競馬場の入場門を入るとす...
- (重賞回顧)2002年第16回セントウルS~優勝馬:ビリーヴ~
- 今年2012年のダービージョッキー・岩田康誠騎手。2日(日)終了時点で、JRAで...
トラックバック(1)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: (重賞回顧)2004年第58回セントライト記念~優勝馬:コスモバルク~
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://weekenddream.jp/bin/mt-tb.cgi/13510
牝馬限定の外回り1800m、しかも休み明けの馬も多く出走する秋華賞への最重要プレップレースということで、スローの瞬発力勝負になりがち。それでも前残りになる... 続きを読む