(重賞回顧)2006年第67回菊花賞~優勝馬:ソングオブウインド~
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思えば「2年連続で3冠馬誕生」の
チャンスがある菊花賞だった。
前年のディープインパクトに続いて、
メイショウサムソンも・・・、
という夢を思い描いた人は
同馬の関係者以外にもいただろう。
そのメイショウサムソンは
単勝オッズ2.0倍の1番人気に支持された。
しかし場内の空気は前年の淀とは違う。
そう思ったのは私だけだろうか?
前年は前日の土曜日から上空を飛行船が飛び回るなど、
どことなくソワソワした雰囲気に包まれていた。
しかしこの年の淀に、
そんな空気は感じられなかった。
開門と同時にほぼ全ての席が埋まった前年とは違い、
この年は開門後もゴール板前の席に余裕がある。
そう言えば、
前年は「3冠」が決まる前から
ターフィーショップはディープインパクト関連のグッズで
溢れていた記憶がある。
その後も全国のJRA競馬場内ターフィーショップに行けば
存在した「ディープインパクト専用コーナー」が
この日の京都競馬場にはなかった。
ディープインパクトが凱旋門賞に参戦した直後に
禁止薬物が見つかったことも影響しているのだろうか。
そんな沈滞ムードが京都競馬場内を覆っているようにも思えた。
レースはメイショウサムソンが4コーナーで
2番手につけて、
逃げるアドマイヤメインを射程圏に。
場内は大きな盛り上がりを見せる。
3冠馬誕生か?
しかしメイショウサムソンは
直線に入ってから思うほど伸びない。
代わりに皐月賞、ダービーでメイショウサムソンに敗れていた
ドリームパスポートが、
そして更に神戸新聞杯で
このドリームパスポート、メイショウサムソンに
ゴール前で交わされて3着に敗れたソングオブウインドが
伸びてくる。
優勝はソングオブウインド。
2着にドリームパスポートが入り、
逃げたアドマイヤメインが3着。
メイショウサムソンは4着に敗れた。
場内にため息が広がる。
8番人気の伏兵ソングオブウインドは
これが重賞初制覇でもあった。
新馬戦から初勝利まで5戦を要した馬。
しかしその後は大崩れのないレースぶりを続け、
7月のラジオNIKKEI賞で2着、
そして前走の神戸新聞杯で3着。
牡馬クラシックの最終関門である菊花賞は、
ディープインパクトやメイショウサムソンのように
早い時期から活躍した馬ばかりではなく、
「遅れてきた大物」にもそのチャンスがあるということか。
こうした馬たちにも活躍の場が与えられるのが競馬なのだから、
この結果こそが「競馬本来の姿」と言えるのかもしれない。
菊花賞当日の京都競馬場で
最終レース後に行われる恒例のイベントと言えば、
菊花賞に騎乗した騎手のみがステージに上がって行うレース回顧。
ソングオブウインドの新馬戦、
そしてその後2戦の手綱を取ったのは武豊騎手。
彼がこのイベントの中で、
ソングオブウインドについてこんな話をしていたのを思い出す。
-3戦目のダート1800メートル戦で3着に敗れた後、
厩舎関係者に
「この馬はダート1400メートルぐらいの方が走ると思いますよ」
と進言したのだけど、
まさかダート1400メートルどころか、
芝3000メートルを菊花賞を勝ってしまうとは・・・。-
場内のファン、
そしてステージ上のジョッキー達全員が大爆笑。
実際にその次走でソングオブウインドは
ダート1400メートル戦に出走している。
結果は2着だったのだが・・・。
でも若駒達の能力を見極めるのは、
それだけ難しいことなのだろう。
春シーズンの活躍馬だけではなく、
「遅れてきた大物」を探すのも楽しいのが菊花賞。
2年連続での「3冠馬誕生」が現実にならなかった後だから、
そんな菊花賞の楽しみ方を改めて思い出した想いがした。
2006年10月22日(日)
京都11R
第67回菊花賞(G1)
京都・3000メートル
1着8枠18番ソングオブウインド(57・武幸四郎) 3分2秒7
2着7枠13番ドリームパスポート(57・横山典弘) クビ
3着3枠 5番アドマイヤメイン(57・武豊) 1 3/4
4着6枠12番メイショウサムソン(57・石橋守) 2 1/2
5着7枠15番アクシオン(57・田中勝春) 1/2
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