(重賞回顧)1993年第42回川崎記念~優勝馬:ハシルショウグン(大井)~

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過去の重賞競走における想い出を語る「重賞回顧」。
今回はその中でも特に個人的な想い出となる点をご了承頂きたい。
実はこの1993年の川崎記念は
私が初めて生で見た地方競馬のレースだったのである。

当時から大井競馬場では
既にナイター競馬が行われていた。
学生時代の競馬仲間の中に、
大井競馬場内の売店でアルバイトをしている人間がいて、
地方競馬についての話も聞かされたことがあり、
行ってみたいと思ったのだが、
当時から貧乏学生で
おまけに運動部に所属していた私は
時間的にも、経済的にも、
週末の中央競馬の馬券を買うのが精一杯という状況。
(それ以前に当時の競馬法では、学生は馬券を買ってはいけなかったのだが)
なかなか大井に足を運ぶ機会がなかった。

ところがこの日は祝日でたまたま時間があった。
卒業間際で運動部も引退しているから時間もある。
「週刊競馬ブック」の地方競馬関連ページを見ると
この日の川崎競馬場で「川崎記念」という
地方競馬全国交流のレースがあるという。
未経験だった「地方競馬」の世界を覗いてみたいという好奇心だけで
川崎競馬に足を運んだのだった。

この頃、川崎球場を本拠地としていた
ロッテオリオンズのファンだったこともあって、
川崎競馬場の場所についてはある程度の見当がついていた。
それでも
「あんな所で本当に馬なんか走っているのだろうか?」という疑問が
中央競馬しか知らなかった私にはあった。
だから現在はコンビニがある角のあたりから(だったと思う)、
パドックを歩く馬の姿を目撃した時、
ちょっとした感動があった。
場内に入ってそのパドックを改めて見る。
以前に入ったことがある府中や中山のパドックとは
その大きさが明らかに異なる。
でもそれでもパドックとしてしっかりと機能しているのだ。
こんな競馬場もあるんだなあ。
そんな発見にちょっとした喜びを見出した。

当時の川崎競馬場は今のようなナイター設備はない。
女性や若者が足を運べるような雰囲気とは程遠い競馬場だった。
第一京浜を挟んだ反対側には歓楽街という立地も
その独特の雰囲気を作り出していたような記憶がある。
場内で当時の私よりも若い人を探すのは非常に難しかった。
そう考えるとここ10数年で
この競馬場は大きく変わったものだ。

この川崎記念を制したのはハシルショウグン。
この馬の名前は以前からよく覚えていた。
前年の中山競馬場で行われたオールカマーで
同じ大井・赤間清松厩舎のジョージモナークと激しいハナ争いを演じた馬であり、
その後のジャパンカップにも地方競馬代表枠で出走していた馬だった。
トウカイテイオーがナチュラリズムに競り勝ったあのレースにも姿があった馬を、
スタンド2階からでもステッキの音が聞こえるほどの近さで
見ることが出来るとは・・・。
写真判定ながらもゴールの瞬間にガッツポーズを
見せた鈴木啓之騎手(現調教師)の姿は
今でも鮮明に覚えている。
当時は中央競馬との交流レースではなかった川崎記念。
その注目度は今とは比較にならないほど低いものだった。
それでもレースの勝ち負けに熱くなる人達がいる。
その点では中央競馬と全く変わらないものだった。
これも中央競馬と同じ競馬なのだ。
当たり前の事かもしれないが、
当時は中央競馬しか知らなかった自分には
非常に新鮮なことのように思えた。

そのハシルショウグンを次に生で見たのはこの年のオールカマー。
川崎記念の後、帝王賞と大井記念を連勝して、
南関東のNO.1ホースとなったハシルショウグンは、
ツインターボの大逃げで場内がどよめく中、
中央のG1馬ライスシャワーとの競り合いを制して2着を確保する。
自分が見ていた位置からの距離は遠くなったが、
それでも川崎であの時見たハシルショウグンであることには変わらない。
あの距離感のない川崎競馬場で見たレースと
当時からよく見ていた中央競馬の重賞競走との間で見つけた
「ハシルショウグン」という接点。
それはまだ競馬歴が浅かった自分には
新たな発見のように思えた。
初めて生で見た地方競馬の重賞競走・川崎記念は
中央競馬・地方競馬を現在も共に見続ける自分にとって、
そのひとつのきっかけとも言えるレースだったのである。


1993年2月11日(木・祝)
第42回川崎記念
川崎・ダート2000メートル

1着2枠 2番ハシルショウグン(大井・57・鈴木啓之) 2分8秒1
2着1枠 1番タケデンマンゲツ(宇都宮・56・平澤則雄) ハナ
3着8枠11番パワーデイクター(船橋・57・ 田部和廣)  3
4着7枠 9番ハナセール(大井・57・高橋三郎) 1
5着6枠 8番グレイドショウリ(大井・57・石崎隆之) アタマ

 

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プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

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