(重賞回顧)2011年第45回フィリーズレビュー~優勝馬:フレンチカクタス~
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3歳牝馬クラシック第1弾・桜花賞(G1)。
このレースへ出走権を賭けたトライアルレースは
本番と同様に関西馬が圧倒的に強い、というのが例年の傾向だ。
長く続く「西高東低」の状況に加えて、
美浦トレセンから関西地区への輸送は
関東の3歳牝馬にとっては大きな負担を強いるものとなる。
それが「関東馬劣勢」の原因ではないか、と言われ続けている
しかしこの年に限っては
関東の人馬たちにそんな泣き言は許されなかった。
このレースの10日前、
2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災が
全ての状況を一変させてしまったのだ。
そして東北地方の被害の大きさ、原発事故による「節電」の必要性、
そんな諸々の状況が
東日本地区を「競馬」など考えることが許されない状況に追い込む。
JRAは震災直後の12日(土)・13日(日)の競馬開催を中止。
再開されたのは翌週の19日(土)からとなったが、
被害のなかった西日本地区の阪神・小倉のみの開催で、
本来なら開催される筈の中山競馬場は被害を受けたこともあり、
中止を余儀なくされることに。
関東馬たちの生活・調教における拠点である
美浦トレーニングセンターも被害を受けた。
調教コースに段差や液状化現象が発生。
更に厩舎地区も断水に見舞われたという。
そして「地元」である筈の中山でのレースがない。
だが西日本には「戦う場所」がある。
彼らの仕事は「戦うこと」。
その場所があり、
自分たちにも参加する資格がある以上、
困難な状況はあろうとも、
輸送距離は遠くても、
「戦い」を挑まなければならない。
このフィリーズレビューは
当初の13日(日)から21日(月・祝)に変更して実施された。
震災から10日後の一戦である。
そのレースで馬群から突き抜けたフレンチカクタス、
そして2着に入ったスピードリッパーは共に関東馬。
元から劣勢で、しかも苦境に追い込まれた関東の人馬によるワン・ツー。
「関東馬、そして関東のホースマン達による意地」
と書いてしまうのは安易過ぎるだろうか?
だが元々の「西高東低」状態も、震災によって背負ったハンデも、
全てを乗り越えての勝利だったことは間違いない。
しかも精神面や肉体面から判断して、
最も影響を受けやすい3歳牝馬による結果だったことを忘れてはならない。
「3.11」の後、
東日本地区で中央競馬が再開されるまで1ヶ月以上を要した。
その間、関東の人馬は関西での厳しい戦いが続いた。
だがその関西地区で行われた再開直後の重賞で
関東馬がワン・ツーを決めたことは、
きっと他の美浦に所属するホースマン達に大きな勇気を与えたに違いない。
2011年3月21日(日・祝)
阪神11R
第45回報知杯フィリーズレビュー(G2)
阪神・芝1400メートル
1着6枠11番フレンチカクタス(54・北村宏司) 1分22秒3
2着7枠14番スピードリッパー(54・横山典弘) 1 1/4
3着3枠 6番エーシンハーバー(54・武豊) クビ
4着6枠12番ドナウブルー(54・リスポリ) クビ
5着4枠 8番ラテアート(54・松岡正海) 3/4
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