(重賞回顧)2001年第49回阪神大賞典~優勝馬:ナリタトップロード~
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デビュー時から手綱を取り続け、
G1タイトルを手にするまでの活躍をした馬がいる。
しかしその後の成績が原因で一度はコンビは解消に。
そんな馬の手綱が再び自分に戻ってきた時、
騎手はどんな事を考えるのだろうか?
1999年の菊花賞を制したナリタトップロードと渡辺薫彦騎手。
しかしその菊花賞以降、勝ち星に恵まれずにいた。
2000年の有馬記念、
そしてこの年の京都記念では的場均騎手(現調教師)に手綱を譲ることに。
結果を残すことが出来なかったのだ。
この乗り替わりは仕方が無かったのだろう。
その的場均騎手は既に調教師試験に合格し、
2月に引退が決まっている身である。
京都記念の後、
その手綱は再び渡辺薫彦騎手の元に戻ってきた。
一度は解消となったコンビの復活である。
降板した当時、渡辺薫彦騎手にはきっと様々な想いがあったに違いない。
復活したコンビで迎えたこの阪神大賞典、
3コーナー過ぎから馬群の外を回って進出するナリタトップロードの姿は
そんな鞍上の想いが乗り移っているように私には思えた。
直線の入り口で先頭に並ぶナリタトップロード。
交わし去った後は一気に後続を突き放す。
前走までの「勝ち切れないナリタトップロード」の姿はそこにはない。
2着のエリモブライアンに8馬身差の圧勝ぶり。
そして芝3000メートル3分2秒5という、
世界レコードタイム更新というおまけ付きの結果に、
阪神競馬場は歓声に包まれる。
この勝利の瞬間に思い出した事があった。
1999年の皐月賞前の最終追い切り後に
メディアの取材を受けた渡辺薫彦騎手のコメントである。
「ナリタトップロードと僕のコンビネーションを見てください」
文字にすると力強いが、
クラシック戦線で注目を集める存在となるという
慣れない経験が来る緊張感のせいか、
非常に弱々しい声だったことを覚えている。
だがこの阪神大賞典の後、
当時の彼が語った
「ナリタトップロードとのコンビネーション」の意味を
思い出さずにはいられなかった。
前走までコンビを組んでいた的場均騎手は
彼より実績も経験も豊富なジョッキーであることは言うまでもない。
その的場均騎手でも導き出すことが出来なかったナリタトップロードの強さを
引き出して見せたのだから。
ナリタトップロードは渡辺薫彦騎手以外の騎手が主戦を務めていたら
もっと勝つことが出来たのではないか、という声がある。
私はそうは思わない。
この馬は渡辺薫彦騎手以外の騎手には
引き出すことができない「何か」があったに違いない。
だからこの馬の馬券を買う時は
「何とかしろ、渡辺!!
ナリタトップロードは強い馬だ。
でもその強さを引き出すことができるのは武豊でもオリビエ・ペリエでもない。
お前じゃなきゃダメなんだ!!」
と祈りながらレースを見ていた事を思い出す。
「名コンビ」と呼ばれた人馬は数多いが、
「ナリタトップロード&渡辺薫彦騎手」というコンビは
その中でも個人的に強く印象に残っている。
2001年3月18日(日)
阪神11R
第49回阪神大賞典(G2)
阪神・芝3000メートル
1着3枠 3番ナリタトップロード(59・渡辺薫彦) 3分2秒5
2着8枠11番エリモブライアン(56・藤田伸二) 8
3着6枠 7番ホットシークレット(58・武幸四郎) 1 3/4
4着1枠 1番タガジョーノーブル(57・福永祐一) ハナ
5着5枠 5番イブキヤマノオー(57・四位洋文) ハナ
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