(重賞回顧)1994年第30回福島記念~優勝馬:シルクグレイッシュ~
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ハンデ戦の重賞で49キロとか50キロとか、
軽い斤量の馬を専門紙で見る度に、
いつも思うことがある。
このような軽い斤量で乗るには
それなりの準備が必要だろう。
その騎手がその前のレースで落馬・負傷して、
騎乗できなくなってしまったらどうなるのだろう。
この年の福島記念の勝ち馬、
シルクグレイッシュがそうだった。
この馬は小野次郎が騎乗するはずだった。
斤量は50キロ、
小野も当然準備をして福島に乗り込んでいたに違いない。
ところがこの日の3Rで落馬負傷。
以降のレースには騎乗できない。
果たして福島に50キロで騎乗できる騎手はいるのか?
50キロで騎乗可能な騎手は現れた。
単に福島に存在しただけではない。
そのピンチヒッターを務めた騎手はシルクグレイッシュを
中団から4コーナーで3番手に押し上げ、
直線で抜け出して先頭でゴール板を駆け抜けた。
単なるピンチヒッターではない。
シルクグレイッシュを重賞ウイナーにしてしまったのだ。
そのピンチヒッターを務めたのは後藤浩輝。
今では重賞レースの常連でG1勝ちもある。
しかしこの福島記念が後藤にとっても
初めての重賞勝ちだった。
どんな経緯で彼に出番が回ってきたのかはわからない。
(後に本人がその経緯をテレビ番組で語っていたのを
記憶してはいるが)
ただ言えることが2つある
ひとつは50キロで騎乗できる状態で福島にいたということ。
準備をしていたのか、
その必要がなかったのかはわからない。
それでも50キロで騎乗できる状況だったからこそ、
回ってきたチャンスであることは間違いない。
そしてもう一つ、
巡ってきたチャンスを活かしたということ。
当時は「若手騎手」だった後藤にとって、
重賞競走に騎乗する事自体、
ビッグチャンスだった筈。
その与えられたチャンスに
後藤は最高の結果を出して見せたのだ。
この勝利に今日の後藤浩輝が
関東リーディングの上位騎手であり、
重賞競走の常連騎手である理由が見えてくる。
運もあるのかもしれないが、
チャンスと出会う可能性を高める状況が出来ている。
そしてそのチャンスに「結果」で応えている。
後々まで活躍できる騎手のタイプはどんなものかが、
このレースに現れているように私には思える。
そもそも軽い斤量に対応しやすいのは
若い騎手の方だろう。
この福島記念も含めたローカルのハンデ重賞の楽しみは
そんな若手騎手の出現を期待するところにも
あるように思える。
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1994年11月20日(日) 3回福島8日 天候: 晴 馬場状態: 良
11R 第30回福島記念
3歳以上・オープン・G3(ハンデ) 芝 2000m 14頭立
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着枠 馬 馬名 性齢 騎手 斤量 タイム 3F 人体重 廐舎
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1 2 2 シルクグレイッシュ 牡 3 後藤浩輝 50 2.01.3 37.1 10 502 (美)大和田稔
2 7 12 マッドネスオー 牡 4 鈴木寿 52 2.01.4 37.1 7 448 (美)尾形盛次
3 8 14 マイヨジョンヌ 牡 4 大崎昭一 55 2.01.8 37.9 1 466 (美)畠山重則
4 5 8 アラタマワンダー 牡 5 芹沢純一 55 2.01.9 37.8 4 488 (栗)新川恵
5 5 7 ペガサス 牡 4 坂井千明 53 2.02.1 37.8 8 464 (美)大和田稔
6 6 9 ヤマニンフォックス 牡 6 山田和広 54 2.02.1 38.0 11 466 (栗)坪正直
7 1 1 アンバーライオン 牡 4 田所秀孝 54 2.02.2 38.3 9 442 (栗)鹿戸幸治
8 4 6 ツインターボ 牡 6 宗像徹 57 2.02.7 38.9 3 406 (美)笹倉武久
9 8 13 *トーヨーリファール 牡 4 宝来城多 57.5 2.02.8 38.9 5 486 (栗)松永善晴
10 4 5 ミスタートウジン 牡 8 原田聖二 56 2.03.0 38.7 13 518 (栗)福島信晴
11 6 10 メイショウマリーン 牝 6 村山明 52 2.03.1 39.0 12 436 (栗)高橋直
12 7 11 インターシュプール セ 5 坂本勝美 55 2.03.3 39.2 2 468 (栗)森秀行
13 3 4 ジョースナイパー 牡 6 小谷内秀 52 2.03.9 39.5 14 460 (栗)柴田光陽
14 3 3 イイデライナー 牡 3 山田泰誠 53 2.04.2 39.9 6 436 (栗)大久保正
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LAP :12.5-10.9-11.8-11.5-12.2-12.4-12.5-12.3-12.6-12.6
通過:35.2-46.7-58.9-71.3 上り:74.6-62.4-50.0-37.5 平均:1F:12.13 / 3F:36.39
単勝 2 \2210
複勝 2 \470 / 12 \370 / 14 \160
枠連 2-7 \2860 (16)
馬連 02-12 \6200 (26)
(JRA-VANより
「TARGET frontier JV」使用)
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