(重賞回顧)2002年第22回ジャパンカップ~優勝馬:ファルブラヴ~

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この年は東京競馬場でスタンド改修工事があった為、
中山競馬場で行われたジャパンカップだった。
外国馬の陣営の中には、
府中と比べて小回りで狭いコースに
不安の声を挙げる陣営もいたと聞く。

しかしその中山で行われたジャパンカップは
そんな前評判に反して、
我々日本の競馬ファンに「世界の競馬」がどんなものかを
教えるような結果となる。
ランフランコ・デットーリ騎乗のファルブラヴ、
コーリー・ナカタニ騎乗のサラファン、
この2頭が直線で激しく叩き合い、
並んでゴール板を通過。
世界の名手2名による叩き合いを
見ることが出来ただけでも幸せなことに思えた。
でもそれで満足するのは早かった。
日本のファンはその後、
更なる「世界の競馬」を知ることになる。

写真判定の結果、
軍配はハナ差でファルブラヴに。
しかしなかなかレースが確定しない。
払戻金の確定を待つ場内に、
アナウンスが響き渡る。
そして何故か審議のランプが・・・。
ハナ差で敗れたサラファンを管理するドライスデール調教師が
勝ったファルブラヴの直線での進路の取り方に抗議して、
不服申立てを行ったのだ。
ルール上は存在するとはいえ、
日頃の日本競馬ではなかなかお目にかかることのない不服申立てに
場内は騒然となった。

審議の結果、
ドライスデール調教師の抗議は受け入れられず、
到達順位の通りに確定。
場内に流れたパトロールビデオを見ると、
ファルブラヴとサラファンの双方が寄り添うような形で接触しており、
どちらか一方が走行を妨害しているようには見えない。
だがこのパトロールビデオを見た私は即座に思った。
ドライスデール調教師はサラファンが勝つ可能性を
最後まで追求したのだろう。
その「勝利への執念」が「審議ランプ」に現れているように見えた。
何故なら全ては写真判定の結果が出た後の出来事だからだ。
写真判定の結果が逆だったら、
この「審議ランプ」はあっただろうか?

長距離の輸送を乗り越えて日本にやってくるだけに、
外国馬の陣営はその長距離輸送を克服して
何としてでも勝ちたいのだ。
あのドライスデール調教師の「審議ランプ」に
彼らが日本馬の関係者たち以上に強く持つ、
「勝利への執念」を教えられた想いがした。


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2002年11月24日(日) 4回中山8日  天候: 曇   馬場状態: 良
10R  第22回ジャパンカップ
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定)  芝 2200m   16頭立
------------------------------------------------------------------------------
着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
------------------------------------------------------------------------------
1 1  1 $ファルブラヴ    牡 4 デットー  57  2.12.2 35.6  9 538 [外]ダウリア
2 4  8 $サラファン     セ 5 ナカタニ  57  2.12.2 35.3 11 516 [外]ドライス
3 4  7 $シンボリクリスエス 牡 3 ペリエ   55  2.12.3 35.7  1 536 (美)藤沢和雄
4 8 15 $マグナーテン    セ 6 岡部幸雄  57  2.12.5 36.3  8 518 (美)藤沢和雄
5 5 10  ジャングルポケット 牡 4 武豊    57  2.12.5 35.3  3 478 (栗)渡辺栄 
6 1  2 $インディジェナス  セ 9 サンマル  57  2.12.6 36.0 16 484 [外]アラン 
7 2  3 $ゴーラン      牡 4 ファロン  57  2.12.7 36.3  6 496 [外]スタウト
8 5  9  ノーリーズン    牡 3 蛯名正義  55  2.13.0 36.0  4 474 (栗)池江泰郎
9 6 11  テイエムオーシャン 牝 4 本田優   55  2.13.0 36.1 10 462 (栗)西浦勝一
10 7 13  ナリタトップロード 牡 6 四位洋文  57  2.13.1 36.3  2 498 (栗)沖芳夫 
11 2  4 $イリジスティブルジ 牝 3 スマレン  53  2.13.3 36.9 13 470 [外]ウェルド
12 8 16  エアシャカール   牡 5 田中勝春  57  2.13.4 36.2  7 508 (栗)森秀行 
13 6 12 $ブライトスカイ   牝 3 テュリエ  53  2.13.8 37.0  5 442 [外]ルルーシ
14 3  5 $アメリカンボス   牡 7 江田照男  57  2.13.8 37.4 14 486 (美)田子冬樹
15 7 14 $ストーミングホーム 牡 4 ヒルズ   57  2.14.2 37.6 12 462 [外]ヒルズ 
16 3  6  アグネスフライト  牡 5 後藤浩輝  57  2.14.7 38.1 15 462 (栗)長浜博之
------------------------------------------------------------------------------
LAP :12.8-11.4-12.4-12.2-12.1-11.7-11.9-11.7-11.6-12.0-12.4
通過:36.6-48.8-60.9-72.6  上り:71.3-59.6-47.7-36.0  平均:1F:12.02 / 3F:36.05
単勝   1 \2050
複勝   1 \550 / 8 \910 / 7 \160
枠連   1-4 \2660 (11)
馬連   01-08 \25600 (59)
ワイド 01-08 \7220 (67)/ 01-07 \1360 (12)/ 07-08 \3040 (29)
馬単   01-08 \45850 (111)
3連複 01-07-08 \35730 (93/560)


(JRA-VANより
「TARGET frontier JV」使用)

※レース結果・払戻金については
主催者発表のものを必ずご確認ください。

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プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

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