(重賞回顧)2001年第124回中山大障害~優勝馬:ユウフヨウホウ~

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走っている馬の姿が一瞬見えなくなるほど
下っては上るバンケット。
そして大きな難所である大竹柵・大生垣。
中山の大障害コースは過酷だ。

その大障害コースの最後の障害があるのは
3~4コーナーの中間地点。
この最終障害を飛越し、
ダートコースを横切って芝コース、最後の直線に入る。
芝コースに最初に姿を見せたのはゴーカイだった。
春の中山グランドジャンプを連覇したハードル界の最強馬が
先頭で芝コースに入ってくることに、
驚く者はいなかっただろう。
最後の力を振り絞ってゴールを目指す。
春秋のJ-G1制覇で最強馬の貫禄を見せることになるのか?

しかし次の瞬間、
我々は驚きの光景を目にすることになる。
そのゴーカイの背後から別の1頭が末脚を伸ばしていたのだ。
その馬はゴーカイを交わし去り、
2馬身差をつけてゴール板を駆け抜ける。
そして騎手の手が上がる。

その馬の名はユウフヨウホウ。
実はゴーカイと同じくユウミロクを母に持つ馬だった。
ゴーカイの半弟にあたる馬だったのだ。
しかし兄弟だが障害未勝利戦を勝って
オープン入りして以降は勝ち星なし。
10番人気という低評価も仕方のないところだった。
しかしその低評価を覆してのJ-G1勝ち。
障害戦にも「血統のドラマ」は存在するのか・・・。
驚きとともにある種の感動を憶えた瞬間だった。

ユウフヨウホウの鞍上は今村康成。
苦労の多い騎手人生であったに違いない。
1997年にデビューするもなかなか初勝利のタイミングが訪れず、
翌1998年の4月にようやく待望の勝ち星を挙げる。
その後も騎乗馬に恵まれているとは言い難く、
このレースの前までに挙げた勝ち鞍は8。
だが今村はJ-G1の大舞台で巡ってきたチャンスを逃さなかった。
見事に大仕事を果たしたのである。
表彰式の晴れ舞台に立った今村を
中山に集まったファンは温かい拍手を迎える。
そんな「騎手のドラマ」に何かを感じた人も多かったということか。

この年は
「血統のドラマ」とともに「騎手のドラマ」もあった
中山大障害となったように思う。
元々数々の難所をクリアするレースだけに、
レースそのものもドラマ性を持っている。
中山大障害というレースは
春の中山グランドジャンプと共に、
そんな平地とは別のドラマを見せてくれるレースなのかもしれない。

------------------------------------------------------------------------------
2001年12月22日(土) 5回中山7日  天候: 晴   馬場状態: 良
10R  第124回中山大障害
障害3歳以上・オープン・J・G1(定量) (混)  芝 4100m   10頭立
------------------------------------------------------------------------------
着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
------------------------------------------------------------------------------
1 7  8  ユウフヨウホウ   牡 4 今村康成  63  4.44.1 13.9 10 450 (栗)松元茂樹
2 1  1  ゴーカイ      牡 8 横山義行  63  4.44.4 13.9  1 514 (美)郷原洋行
3 4  4 *ミナミノゴージャス 牡 6 田口大二  63  4.45.2 13.9  5 482 (美)河野通文
4 5  5  マキシマムプレイズ セ 6 林満明   63  4.48.4 14.1  6 448 (栗)坪憲章 
5 8 10  ワンダフルシチー  牡 5 北沢伸也  63  4.51.0 14.2  9 460 (栗)大根田裕
6 3  3  ユーセイシュタイン 牡 5 嘉堂信雄  63  4.54.8 14.4  7 476 (栗)岩元市三
止 8  9  メジロシュナイダー 牝 4 沢昭典   61  ------ ----  8 510 (美)尾形充弘
止 7  7  ギフテッドクラウン 牡 5 白浜雄造  63  ------ ----  4 468 (栗)吉岡八郎
止 6  6  マキハタコンコルド 牡 6 出津孝一  63  ------ ----  3 464 (栗)新川恵 
止 2  2  カネトシガバナー  牡 6 高田潤   63  ------ ----  2 494 (栗)野村彰彦
------------------------------------------------------------------------------
LAP : (データ無し)
通過:マイル:108.9  上り:53.0-40.0  平均:1F:13.86 / 3F:41.58
単勝   8 \11470
複勝   8 \1110 / 1 \110 / 4 \240
枠連   1-7 \880 (4)
馬連   01-08 \6610 (16)
ワイド 01-08 \1750 (17)/ 04-08 \5010 (35)/ 01-04 \410 (4)


(JRA-VANより
「TARGET frontier JV」使用)

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プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

※「プロフィール詳細・経歴」もご覧ください


私・菅野へのご連絡は以下のメールアドレスまでお願いします。

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