(重賞回顧)第34回アメリカジョッキーCC~優勝馬:ホワイトストーン~
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天気が悪い1月の中山は、
競馬場全体が非常に暗く感じられる。
この日もそんな1日だった。
発表は天候:小雨、芝:稍重。
非常に寒い1日である。
スタンドの屋根に設置されている照明灯が
芝コースを照らし出していた。
その照明灯の光に映える1頭の芦毛馬が、
場内のファンを驚かせた。
逃げるのはレガシーワールド。
レース前、誰もがそう思っていたに違いない。
鞍上の小谷内秀夫もそのつもりだっただろう。
しかし1コーナーでそのレガシーワールドの内から、
スルスルとハナに立った馬がいた。
ホワイトストーンだった。
1990年には菊花賞2着、有馬記念3着の実績がある。
翌年の春の天皇賞では、
メジロマックイーン、メジロライアンとともに
「3強」と呼ばれたこともあった。
G1にも何度も出走した馬である。
だがなかなか勝てない。
それでもファンの多い馬だった。
いや、なかなか勝てなかったから、
ファンが多かったのかもしれないが。
ホワイトストーンの鞍上は柴田政人。
名手にハナを主張されては、
レガシーワールドの小谷内秀夫も控えざるを得ない。
半馬身差で2番手からのレースを余儀なくされた。
1000メートル通過は62秒0。
完全なスローペースとなった。
ホワイトストーンのペースで直線が進む。
この緩い流れのまま、
4コーナー、そして直線に入る。
勝ち星から見放されていたホワイトストーンだが、
決め手勝負となれば、
レガシーワールドよりも上だ。
直線でスパートし、レガシーワールドを一気に突き放した。
レガシーワールドも懸命に食い下がるが、
後ろのブリザード以下の追撃を食い止めるのが精一杯。
前方で照明灯に照らされた芦毛の馬体が光り輝いている。
その芦毛馬ホワイトストーンがそのまま、
先頭でゴール板を駆け抜けた。
2着レガシーワールドとの差は2馬身1/2。
完璧な勝ちっぷりだった。
1991年3月の大阪杯以来の勝ち星である。
G1で上位入線の実績のある馬だっただけに、
陣営も何とかこの馬に勝ち星を、
と試行錯誤を繰り返していたに違いない。
ハナに立つ、という作戦も、
きっとその一環だったのだろう。
そんな周囲の苦労に、
ようやくホワイトストーンが勝利で応えてくれた形となった。
この勝利に、
中山競馬場が大きな拍手で包まれたことを
今でも記憶している。
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1993年 1月24日(日) 1回中山8日 天候:小雨 馬場状態:稍重
11R 第34回アメリカジョッキーCC
4歳以上・オープン・G2(別定) (混) 芝 2200m 9頭立
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着枠 馬 馬名 性齢 騎手 斤量 タイム 3F 人体重 廐舎
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1 1 1 ホワイトストーン 牡 6 柴田政人 57 2.15.0 36.7 6 464 (美)高松邦男
2 3 3 レガシーワールド セ 4 小谷内秀 57 2.15.4 37.0 1 486 (栗)戸山為夫
3 4 4 ブリザード 牡 5 根本康広 57 2.15.6 36.4 8 492 (美)橋本輝雄
4 6 6 ムービースター 牡 7 岸滋彦 58 2.15.8 36.7 7 432 (栗)坪憲章
5 7 7 シャコーグレイド 牡 5 蛯名正義 57 2.16.1 37.2 2 476 (美)矢野照正
6 8 8 カリブソング 牡 7 安田富男 60 2.16.2 37.6 5 524 (美)加藤修甫
7 5 5 イタリアンカラー 牡 6 橋本広喜 57 2.16.3 37.4 4 464 (美)稗田研二
8 8 9 レオダーバン 牡 5 横山典弘 58 2.16.8 38.2 3 512 (美)奥平真治
9 2 2 ストロングカイザー 牡 5 柴田善臣 57 2.16.8 37.9 9 480 (美)元石孝昭
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LAP :12.8-12.0-12.3-12.3-12.6-12.3-12.0-12.0-12.1-12.1-12.5
通過:37.1-49.4-62.0-74.3 上り:73.0-60.7-48.7-36.7 平均:1F:12.27 / 3F:36.82
単勝 1 \1250
複勝 1 \280 / 3 \120 / 4 \480
枠連 1-3 \1140 (5)
馬連 01-03 \1210 (6)
(JRA-VANより
「TARGET frontier JV」使用)
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