(重賞回顧)2001年第124回天皇賞・秋~優勝馬:アグネスデジタル~
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雨の府中。
その雨の中、
馬場の中央を猛然と追い込むアグネスデジタル。
彼の姿を見たその瞬間、
黙らなければならないファンがたくさんいたに違いない。
その週末を迎えるにあたり、
大きな論争が湧き上がった。
当時、このレースに出走可能な外国産馬は2頭。
1頭はこの年の宝塚記念を制したメイショウドトウ。
この馬の参戦に異論を挟む者はいなかった。
しかしもう1頭は誰もがクロフネだと思っていた。
NHKマイルカップ制したあの芦毛の馬体を
再び府中で見ることが出来る。
そんな期待が高まっていた。
しかし「もう1頭」の枠に入ったのはクロフネではなく、
アグネスデジタル。
前年のマイルチャンピオンシップを制していたが、
その後は京都金杯3着、京王杯スプリングカップ9着、
安田記念11着と一息の競馬が続く。
すると矛先をダートに変えて日本テレビ盃、南部杯を連勝。
ダート路線に転向するのでは?との見方もあった中での
突然の天皇賞・秋参戦。
この馬がエントリーしたことにより、
クロフネは枠から弾き飛ばされることに。
様々な議論があった。
当事者たちも様々な罵声を浴びたに違いない。
しかしアグネスデジタルとその陣営は
全てを「結果」によって黙らせた。
当時は「最強馬」との評価が高かったテイエムオペラオーを、
府中の直線で差し切ってしまったのである。
この天皇賞・秋という舞台にふさわしい
「強さ」を持つ馬であることを、
実際の走りで証明して見せたのだ。
その後、年末の香港カップ、
翌年のフェブラリーS、安田記念を制したアグネスデジタル。
芝でも、ダートでも、そして海外でも
その「強さ」を見せつける姿に、
あの時の議論が誤りであったことを多くのファンは認識することになる。
そして更にこの天皇賞・秋での出来事は
更に大きな驚きを呼ぶことになる。
天皇賞・秋への出走を果たせなかったクロフネは
ダートの武蔵野Sへ路線を変更。
その武蔵野Sでダート1600メートル1分33秒3という、
芝並みのとんでもないタイムを叩き出して圧勝。
更にジャパンカップダートでも次元の違う走りで連勝。
「ダート最強馬」の評価を受けることになったのだ。
もしクロフネがアグネスデジタルの代わりに天皇賞・秋に出ていたら、
ダートでの次元の違う強さにファンは気づいただろうか?
この年、ファンが目撃することになる衝撃のドラマは全て、
この天皇賞・秋を起点にして始まったと言っても過言ではない。
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2001年10月28日(日) 4回東京8日 天候: 雨 馬場状態: 重
11R 第124回天皇賞(秋)
3歳以上・オープン・G1(定量) (牡・牝)(指定) 芝 2000m 13頭立
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着枠 馬 馬名 性齢 騎手 斤量 タイム 3F 人体重 廐舎
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1 7 10 $アグネスデジタル 牡 4 四位洋文 58 2.02.0 35.4 4 452 (栗)白井寿昭
2 5 6 テイエムオペラオー 牡 5 和田竜二 58 2.02.2 35.8 1 470 (栗)岩元市三
3 2 2 $メイショウドトウ 牡 5 安田康彦 58 2.02.6 36.5 2 510 (栗)安田伊佐
4 6 8 イブキガバメント 牡 5 河内洋 58 2.02.7 35.9 5 490 (栗)橋口弘次
5 7 11 ダイワテキサス 牡 8 柴田善臣 58 2.02.8 36.3 11 478 (美)増沢末夫
6 5 7 メイショウオウドウ 牡 6 飯田祐史 58 2.03.1 36.2 9 468 (栗)飯田明弘
7 4 4 ステイゴールド 牡 7 武豊 58 2.03.4 37.0 3 428 (栗)池江泰郎
8 8 13 トレジャー 牡 3 岡部幸雄 56 2.03.5 37.4 7 500 (美)藤沢和雄
9 1 1 ロサード 牡 5 横山典弘 58 2.03.6 37.0 6 428 (栗)橋口弘次
10 8 12 ジョウテンブレーヴ 牡 4 蛯名正義 58 2.03.7 37.5 8 490 (美)相沢郁
11 3 3 トーホウドリーム 牡 4 江田照男 58 2.04.0 37.4 10 462 (栗)田島良保
12 6 9 サイレントセイバー 牡 6 田中勝春 58 2.04.2 37.2 13 460 (美)佐藤全弘
13 4 5 サイレントハンター 牡 8 吉田豊 58 2.04.8 38.2 12 492 (美)大久保洋
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LAP :13.6-12.1-12.2-12.2-12.1-12.0-11.9-12.0-11.5-12.4
通過:37.9-50.1-62.2-74.2 上り:71.9-59.8-47.8-35.9 平均:1F:12.20 / 3F:36.60
単勝 10 \2000
複勝 10 \390 / 6 \120 / 2 \130
枠連 5-7 \1780 (5)
馬連 06-10 \2790 (5)
ワイド 06-10 \850 (6)/ 02-10 \890 (7)/ 02-06 \180 (1)
(JRA-VANより
「TARGET frontier JV」使用)
※レース結果・払戻金については
主催者発表のものを必ずご確認ください。
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