（重賞回顧）２００７年第４３回七夕賞～優勝馬：サンバレンティン～

「夏競馬はお休み」という競馬好きがいる。
その一方で「夏は１年で最も競馬に熱が入る」という
競馬好きもいる。
その多くは首都圏や関西圏の人ではないだろうか？
普段、週末に競馬開催が行われるのが、
東京や中山、京都、阪神ではなく、
函館や札幌、福島、新潟、小倉になるのだから。
飛行機や新幹線を使ってこうした競馬場に「遠征」し、
馬券はもちろんだが、
その土地の美味いモノを食す。
それがこの時期の競馬の楽しさでもある。
「アナタの大好きな競馬場はどこですか？」と質問されると、
日頃足を運ぶ競馬場ではなく、
こうした「遠征先」の競馬場を挙げる人も少なくない。

馬にもこうしたタイプがいるのかもしれない。
例えばこの年の七夕賞を制したサンバレンティン。
まずは前５走の戦績を紹介しよう。

前年の鳴尾記念１１着。
年明けの東京新聞杯６着。
中京記念８着。
大阪杯７着。
エプソムカップ８着。

この間は一度も掲示板に載っていない。
どうすればこの馬が直線で馬群の内側から
スルスルと抜け出してくる姿を
レース前に想像できるというのか？
想像できるようになる為には更にもう１走前、
つまり６走前を見る必要がある。

６走前は前年の福島記念。
このレースで１着となったサンバレンティンは
重賞ウイナーの仲間入りを果たしている。
そして更にその１年前、
この馬は福島の１０００万特別を勝っている。
福島では４戦３勝。
福島競馬場と好相性の馬だったのだ。

サンバレンティンを管理していたのは
栗東・佐々木晶三調教師。
この馬は関西馬だったのだ。
京都や阪神、中京はもちろん、
東京や中山よりも長い距離の輸送を強いられる
福島競馬場でのレースだというのに、
この馬はその福島で強い馬だったのだ。
何となく「遠征」となるとワクワクする競馬好きに
似ているような気がするのだが・・・。
この馬にとって、
福島競馬場には一体何があったのだろう？
「夏競馬」が行われる「遠征先」の競馬場では、
何故かこうした馬が時々出現するのである。
　
２００７年７月８日(日)
福島１１Ｒ
第４３回七夕賞（Ｇ３）
福島・芝２０００メートル

１着２枠　４番サンバレンティン（５７・後藤浩輝）　２分０秒３
２着１枠　１番アドマイヤモナーク（５５・安藤勝己）　１　１／４
３着５枠　９番ユメノシルシ（５６・吉田豊）　３／４
４着４枠　８番ヴィータローザ（５７・上村洋行）　１／２
５着５枠１０番ニホンピロキース（５４・赤木高太郎）　クビ