(重賞回顧)2008年第44回新潟記念~優勝馬:アルコセニョーラ~

| トラックバック(0)

4コーナーから直線まで659メートル。
残り600メートルのハロン標が
直線に入ってから姿を表すのは、
新潟競馬場の芝・外回りコースだけである。
直線の長さは国内にある全ての競馬場の中で
新潟が最も長い。

その長い直線でコースの内側から外側まで
まさに横一線に出走馬たちが並ぶ。
これは新潟競馬場での重賞・新潟記念ならではの光景だ。
ハンデ戦の重賞らしい接戦が繰り広げられる。
開催後半で馬場の内側が荒れているせいなのか、
やはり馬場の外を伸びてきた馬が抜け出すことが多い。
この年も馬場の真ん中から外をある1頭の牝馬が抜け出しを図る。
目一杯のレースだけに苦しくてヨレているのか?
それとも少しでも馬場状態のいいところを通ろうとしているのか?
いずれにしても、
その牝馬の優勝が濃厚になった事だけは間違いない。
人気薄だっただけに驚いた人も多いだろう。
だが何年かを経過して改めてこのレースを振り返ると、
その牝馬を懸命に追い続けた馬たちの中にも
驚くべき存在がいた事にも驚かされる。

優勝した牝馬の名前はアルコセニョーラ。
単勝オッズ33.7倍、16番人気。
だがこの勝利は初めての重賞タイトルではなかった。
前年には福島記念を制している。
当時は51キロ。
そして今回は52キロ。
ローカル平坦コースが得意な軽ハンデ馬だ。
不思議なもので、
1年経つとそれぞれの馬の得意とする条件を
競馬ファンというものはつい忘れてしまう。
そんな印象を抱かせるレースだった。

そのアルコセニョーラに2馬身差の2着に迫った馬について、
当時は誰も印象に残っていなかったに違いない。
しかしその馬は後に大仕事をやってのける事になる。
2着はマイネルキッツだった。
そう、翌2009年の天皇賞・春で大波乱の主役を演じた
マイネルキッツである。
当時は準オープンを勝ち上がり、
エプソムカップ5着、七夕賞3着と、
徐々にオープンの水に慣れ始めていた頃だった。
きっとこの2着は
「いずれは重賞タイトルを」
と陣営に期待を抱かせる結果だったに違いない。
しかし、その最初に手にしたのが、
いきなりG1タイトル、しかも天皇賞となることを、
当時予測出来た者はいただろうか?

この新潟記念に参戦する馬たちの多くは、
秋以降も重賞戦線に挑戦を続ける。
横一線の戦いの更に先にある戦いを見据えながら、
このレースの結果を見届けるのも
面白いかもしれない。


2008年8月31日(日)
新潟11R
第44回新潟記念(G3)
新潟・芝2000メートル
-
1着6枠11番アルコセニョーラ(52・武士沢友治) 1分57秒5
2着4枠 7番マイネルキッツ(55・後藤浩輝) 2
3着3枠 5番トウショウシロッコ(55・木幡初広) 3/4
4着2枠 4番ミストラルクルーズ(54・柴田善臣) ハナ
5着4枠 8番フサイチアソート(53・村田一誠) 1 3/4
 

  • Yahoo!ブックマークに登録
  • Google Bookmarksに登録
  • はてなブックマークに登録
  • del.icio.usに登録
  • livedoorクリップに登録
  • Buzzurl(バザール)に登録

関連記事

(重賞回顧)2011年第12回ジャパンカップダート~優勝馬:トランセンド~
「これがドバイワールドカップ2着の実力!!」と言ってしまうのは安易すぎるだろうか...
(重賞回顧)2006年JBCマイル(第6回JBCスプリント、川崎)~優勝馬:ブルーコンコルド~
11月5日(月)は川崎競馬場でJBC競走(クラシック・スプリント・レディスクラシ...
(重賞回顧)2003年第128回天皇賞・秋~優勝馬:シンボリクリスエス~
「どうしてそんな競馬になってしまったのか?」について、改めて書くことに何の意味も...
(重賞回顧)2004年第65回菊花賞~優勝馬:デルタブルース~
初出走、初騎乗、初勝利、初めての重賞勝利、そして初めてのG1勝利・・・。今日の日...
(重賞回顧)2007年第12回秋華賞~優勝馬:ダイワスカーレット~
今改めてこのレースの単勝オッズを見て、ある事に気がついた。1番人気馬ウオッカは2...
(重賞回顧)2010年第23回マイルチャンピオンシップ南部杯(盛岡)~優勝馬:オーロマイスター
4コーナーで驚きの声を挙げた人は多かったのではないか。セレスハント、オーロマイス...
(重賞回顧)2005年第39回スプリンターズS~優勝馬:サイレントウィットネス~
「この馬、強いよ・・・」ゴールの瞬間、思わず呟いてしまった。サイレントウィットネ...
(重賞回顧)2010年第56回オールカマー~優勝馬:シンゲン~
前年の天皇賞・秋以来の実戦がオールカマー。長期休養明けの一戦だった。重賞2勝を挙...
(重賞回顧)2002年第56回セントライト記念~優勝馬:バランスオブゲーム~
2002年は新潟の競馬ファンにとって特別な年だった。新潟競馬場の入場門を入るとす...
(重賞回顧)2002年第16回セントウルS~優勝馬:ビリーヴ~
今年2012年のダービージョッキー・岩田康誠騎手。2日(日)終了時点で、JRAで...

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: (重賞回顧)2008年第44回新潟記念~優勝馬:アルコセニョーラ~

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://weekenddream.jp/bin/mt-tb.cgi/13361

プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

※「プロフィール詳細・経歴」もご覧ください


私・菅野へのご連絡は以下のメールアドレスまでお願いします。

kankan@weekenddream.jp

運営コンテンツ

WEEKEND DREAM
このサイトを中心に活動中です。

競馬Webサイト管理人の活動日記
競馬に関する話題はもちろん、時事ネタや役に立たない日常の話題まで、色々書きます。

新・競馬ニュース
競馬界の最新ニュースをお伝えします

競馬・極私的勝負メモ
馬券・予想下手な管理人が馬券・予想に強くなるためのメモ書きです。



私・菅野のTwitterはこちら

※「新WEEKEND DREAMメルマガ版」は一時休止中です

NOZZEとは 手数料の安いFX業者

月別アーカイブ

競馬Webサイト管理人の活動日記

powered by moondakota 

競馬・極私的勝負メモ

powered by moondakota 

このサイトを購読する