(独り言)中央競馬の専門紙にお願いしたい

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岩手競馬の開催が行われる盛岡競馬場と水沢競馬場には
JRAの発売窓口がある。
その為、岩手競馬の専門紙を見ると、
その日に場外発売があるJRAのレースについても馬柱表が掲載されている。

その馬柱表には予想の印もしっかりと入っている。
予想をしているのは地元・岩手のトラックマン達。
彼らは調教の動きを見て、厩舎取材等をするのが仕事の人だが、
その仕事場は盛岡や水沢であって、美浦や栗東ではない。
でもしっかりと彼らの印が載っているのだ。

そう言えば今年の日本ダービー当日、
福山競馬の専門紙「福山エース」のインターネットダウンロード版を見ると、
メインレースのページ右下にある
福山競馬の名物記者・樋本輝明デスクのコラムに、
日本ダービーの予想が掲載されていたのには驚かされた。
樋本デスクも栗東に取材に行っていた訳ではないと思うのだけど。

逆のパターンもある。
北海道にお住まいの方は
「競馬ブック」の道営・ホッカイドウ競馬版をよく見て頂きたい。
道外の方でもインターネットダウンロード版で確認出来ることがある。
印を打っているトラックマンの名前を見ると、
中央版の関東地区(東京・中山・福島・新潟)において予想をしている人と
同じ名前がいくつか出てくることに気が付く筈だ。
日頃は美浦トレーニングセンターで取材活動をしている人が
門別競馬の予想をしているのである。
似たようなケースは探せばまだまだ出てくるのかもしれない。

こうした「予想」を批判する人が時々見る。
「取材していないのに・・・」という指摘は確かにその通りかもしれない。
地方競馬のトラックマンにとって、
JRAのレースを予想する上で入手出来る情報量は、
ほとんど一般ファンのものと変わらないだろう。
だから「意味がない」という指摘も納得出来る。

だが「情報量が一般ファンと変わらない」からこその意味もある。
中央・地方の違いはあるが、
「競馬予想」を仕事とする人たちである。
一般ファンと同じ情報量をベースにどんな印を打つのかを見ると、
その人の競馬観や予想のスタンスが見えてくる。
直接見ることが出来ないコース・馬を判断する上での考え方など、
参考になるポイントはあるかもしれない。

美浦トレセンで門別競馬の予想をする
「競馬ブック」のトラックマンの方々にも同じことが言えるかもしれない。
いや彼らのように中央競馬の予想をするトラックマンによる「地方競馬の予想」が、
今年の秋からは大きな意味を持つ。
ここまで書けばお気づきの方も多いだろう。
JRAが10月からIPATで地方競馬の馬券発売を開始する。
この動きに中央競馬の各専門紙はどう対応するのだろうか?
発売する全レースは無理だと思うが、
各競馬場のメインレースぐらいは馬柱表を掲載して欲しいのだが・・・。

馬柱表だけではなく、予想も載せて欲しい。
その際にはその競馬場や出走馬の特徴についての分析も必要となる。
もちろん地元トラックマンの協力も必要だが、
日頃は中央競馬の予想をするトラックマン自身の分析力も問われることになる。
「意味がない」と批判する人もいるかもしれないが、
それでも彼らなりの見解を示して欲しい。
読者の中にはその地方競馬について、知識不足の人もいるのだし、
こうした人達のニーズや視点など、
中央競馬のトラックマンだからこそ理解できる感覚もある筈なのだから。

2003年に大井競馬場で行われた第3回JBCの時のこと。
この年、当日に福島競馬を開催する形で、
JRAの施設(一部)でもJBCの馬券発売が行われたのだが、
当日の福島競馬の専門紙各紙は、
JBCクラシック、JBCスプリントの2競走についても馬柱表と予想を掲載した。

印を打っていたのはその専門紙に所属する美浦と栗東のトラックマン達。
「競馬ブック(福島版)」のJBCスプリントにおける
「本紙」の本命馬がナイキアディライト(船橋)だった事を覚えている。
「美浦・栗東の人でこの馬を生で見た人がどれだけいるのだろう?」とも思ったが、
個人的にはそんな予想を見るのは楽しい事だった。
人の予想を鵜呑みにして馬券を買うことはないが、
そんな予想を見るのも競馬の楽しさなのだ。
時にはその見方が勉強になることもあるのだし。

紙面の割付で悩まされる事になるのかもしれないが、
それでも各中央競馬専門紙の方々には
IPATで発売される地方競馬の馬柱表・予想掲載を是非ともお願いしたいと思う。

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プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

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