(独り言)スポットライトを当てるべきなのは

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ロンドンオリンピックで自らの競技を終えた選手たちが
報道陣のインタビューに応じる際、
多くの選手が自分を応援してくれた人たちに向けて
感謝の気持ちを口にする。
現地はもちろん、夜中までテレビの前で応援してくれる日本の人たちに向けてのもの。
そして資金面などでスポンサードしてくれた企業・団体に向けてのもの。
選手自身が何らかの企業に所属している場合は
競技活動をサポートしてくれた所属企業に対してのものもあるだろう。

しかしその企業・団体がその選手よりもメディアに露出し、
目立つ存在となることはない。
その支援は非常に重要なものであり、
それなりの負担を伴うものになっているケースもある筈なのだけど。
それでも結果は別にして、
多くのメディアはそんなバックアップ体制ではなく、
選手たち自身にスポットライトを当てる。

もっとわかりやすいのはプロ野球ではないだろうか。
リーグ優勝を決めた球団。
日本シリーズを勝って日本一となった球団。
こうしたチームについてメディアがスポットライトを当てるのは
そのチームの選手であり、監督である。
実際にはその球団を経営するフロント陣や親会社の存在なしには、
こうした結果はあり得ない。
しかしオーナーや球団社長、親会社の幹部などが
監督や選手以上にメディアに露出し、目立つ存在となることはあり得ない。

資金面や経営面など「お金」に関する様々な要素も、
その「結果」に至る過程では決して無視は出来ない。
だがこうした「お金」に関わる人達が前面に出てくることはあり得ない。
「お金」というものが持つ特質もあるが、
やはり競技の本質はプレイヤー自身であり、
そのプレイヤーを勝利に導く指導者であるからなのだと思う。

「選手」「監督・コーチ」といった人たちの話
「お金」に関わる人たちの話

果たしてどちらがコンテンツとして面白いだろうか。
ほとんどの人が前者に興味を持つのではないだろうか。

何故、競馬サイトでこんな事を書いているのか?
オリンピックを見ていて、ふと思い出したことがあるからなのである。
海外競馬に精通している方々がよく、
日本の競馬についてこんな指摘をすることがある。

「日本の競馬は、もっと馬主が前面に出て、
スポットライトが当たる存在になるべきではないだろうか」

確かにグリーンチャンネルなどで海外競馬の映像を見ていると、
出走馬のオーナーがインタビューを受けている姿を目にする。
国内でも夏場はセレクトセールやセレクションセールが開催され、
競走馬の「価格」というものを嫌でも意識せざるを得ない。
あれだけの巨額な投資をしている人たちなのだ。
確かにそんな高値で取引された馬がG1タイトルを取った際には、
もっとメディアに取り上げられてもいいのかもしれない。

しかしメディアの関心、そしてファンの関心は騎手に集まる。
そして調教師に集まる。
オーナーに集まることはない。
主役は「誰が所有しているのか?」という話とは無関係に「馬」そのものであり、
その馬自身が言葉を発することが出来ない以上、
近くで接している騎手や調教師に集まるのは自然な成り行きだ。
その馬の個性を知っているのも、
その結果をもたらすトレーニングを馬に課してきたのもこうした「現場」の人たちだ。
だから多くの場合、どれほど巨額の投資をしているとしても、
「現場」以上に注目を集めるのは難しい。

「もっとオーナーにスポットライトを当てるべき」
その主張の理由は非常によく理解できる。
だが競馬をスポーツとして考えた場合、
少なくとも日本では興味を持って話に耳を傾ける人は少ないと思うのだが。
もっとも最近は育成施設や「短期放牧先」である調教施設の存在が大きくなり、
こうした施設運営に力を入れるオーナーも増えている。
「オーナー」の立ち位置が変わることで、
メディアやファンの注目度も変わるのかもしれないが。

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プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

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