(独り言)「予想」することの意味

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競馬専門紙やスポーツ紙の競馬欄には
様々な予想記事が掲載されている。
日頃からトレセンなどで厩舎取材をしている記者の予想もあれば、
データ分析に基づいた予想記事もある。
スポーツ紙では競馬好きな芸能人など有名人が書いている
予想コラムも存在する。
関西のスポーツ紙の中には地方競馬所属騎手による
中央競馬の予想記事を掲載している所もある。
もちろんインターネット上でも、
様々な予想記事がアップされている。

私もこのメルマガやサイトを通して、
様々な予想を公開している。
また名前を出さない形で書かせてもらっている予想もある。
その経緯は様々だが、
事前の打ち合わせをする過程で時々思うことがある。
また、私とは無関係なところで語られている
「競馬予想」に関する話で、
時々奇妙に思うことがある。
「競馬予想をする」ことの意味が
年々忘れられてはいないだろうか?
「予想」の意味とは何か?
「馬券を買う人の参考となる予想を提供すること」
もちろんそれも正解の一つだろう?
しかしもう一つ、
別の意味があることをお忘れではないだろうか?
視点を変えると見えてくる別の意味を知らない人、
あるいは忘れてしまっている人が
あまりにも多いように思えるのは私だけだろうか?

例えばあるレースにおいて、
一人の人が競馬専門紙を元に
「軸馬はAでB、C、Dの3頭に流そう」と
予想したとする。
そしてその通り、
競馬場の窓口で馬券を買ったとする。
しかしその後でたまたま友人が持っていたスポーツ紙に、
その人がノーマークにしていた「E」という馬を
推す記事が載っていたとしよう。
そしてその「E」という馬の推奨理由が
非常に気になるものだったとしたら・・・。
締切時刻までまだ時間があり、
財布の中身にも余裕があったとしたら、
その人はもしかすると
「E」絡みの馬券を買い足してしまうかもしれない。

もしその「E」が馬券に絡んだら、
その人は「あの記事を見て良かった」とか、
「買い足して良かった」とか思うだろう。
一方で「E」が見所なく着外に負けてしまったら、
「買い足すんじゃなかった」と思うかもしれない。
もしかすると「あの新聞、二度と読まない」と
怒りを憶えるかもしれない。
しかしそれでも得をする立場の人達が存在することに
お気づきだろうか?

それはJRAなどの競馬主催者である。
彼らは胴元である以上、
余計な馬券を買わせてナンボなのである。
つまり競馬専門紙やスポーツ紙、夕刊紙、
そしてインターネット上も含めて、
「予想」という形で一つのレースにおいて
様々な馬の名前が飛び交うことにより、
ファンに余計な馬券を買わせる機会が増える可能性があるということは、
競馬主催者にとってはプラス材料となることを意味する。
ファンが
「◯◯(記者名)の記事に惑わされなければ良かった」
と一人の記者を悪者扱いしても、
主催者側から見るとその記者は
「非常にいい仕事をした人」ということになる。
「予想が当たらない記者」を悪者扱いしてはいけない。
競馬の発展に貢献している可能性さえあるのだから。
多くの地方競馬が「場立ち」の予想業者を公認している理由も、
これで見えてくるだろう。
彼らも地方競馬主催者から見れば、
来場したファンに
「余計な馬券」を1枚でも多く買わせる役割を果たして欲しいという想いがあるから、
その存在が認められているのである。

どうもこの「予想」することの意味が理解できていない競馬主催者や
メディア関係者、ファンが多すぎるように思えてならない。
特に競馬主催者にとっては
「馬券」はメインの収入源の筈。
出走馬の血統やデビューからの戦績、
騎手や厩舎の成績などの基本データなどは、
「予想」する側が自由に活用できていい筈だ。
法律上の権利が生じるものもあるかもしれない。
その権利そのものは否定するつもりはない。
しかしそのデータの存在意義を考えれば、
権利を主張しないことが得策だと思われるケースもある。
その事を考えずに権利主張する者、
あるいはつまらないツッコミをする者が多すぎる。
「あるべき方向性」を考えたことがあるのだろうか?
ナンセンスな「権利主張」が
どれだけの機会損失につながっているのか、
競馬主催者(特にJRA)は考えたことがあるだろうか?
もちろん実在しない「厩舎情報」をチラつかせる詐欺商法は
糾弾されなければならないだろう。
だがそれは「公式情報」「非公式情報」の区分けが出来ていれば
防ぐことは可能な筈。
一部の詐欺商法が取材権を持たない人たちの
ビジネス権を奪う口実に利用されていないだろうか?
という懸念さえ感じることがある。

専門紙やスポーツ紙、夕刊紙、インターネット上に存在する
「予想」の意味を、
今一度考え直してみてはいかがだろうか?
競馬主催者にとっても、ファンにとっても、
その意味を知ることは有意義なことだと私は考える。 

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プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

※「プロフィール詳細・経歴」もご覧ください


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