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(重賞回顧)2007年第12回NHKマイルカップ~優勝馬:ピンクカメオ~

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府中の直線半ばで馬場の中央から
ローレルゲレイロが抜け出してくる。
藤田伸二騎手はもしかすると「勝てる」と思ったかもしれない。
単勝1番人気ながらオッズは5.5倍。
「断然の1番人気」とは言えない。
前年の朝日杯フューチュリティSも含めて
重賞で2着が4回もある「最強の1勝馬」だったのだが、
しかし見方を変えれば「勝ち切れない馬」でもあった。
だからこそファンは評価に迷う。
5.5倍はそんなファンの迷いが数字となったものだった。
だがそんな馬がG1(Jpn1)の大舞台で馬群から抜け出してきた。
微妙な評価もこの勝利で覆すことが出来る。
藤田騎手はもちろん、
陣営も夢が現実になる瞬間に胸が高鳴ったのではないだろうか。

しかし次の瞬間である。
その外から1頭の牝馬が襲い掛かる。
そしてローレルゲレイロを1/2馬身交わして
先頭でゴール板を駆け抜けた。
藤田騎手、ローレルゲレイロの関係者、
そして同馬の単勝や1着付の馬単、3連単を持っていたファンは、
その瞬間にきっと大きなため息をついたに違いない。
そのローレルゲレイロを交わして
このレースを制した牝馬とは・・・。

ピンクカメオ。
単勝オッズ76.0倍の17番人気。
14着に敗れた前走の桜花賞から12キロも馬体重を減らしていた。
「こんな馬、買える筈がない」
そう思わず口にしそうになった人もいただろう。
だがそんな人もこの鞍上の姿に黙らざるを得なかった。
内田博幸騎手。
当時はまだ大井競馬所属のジョッキーだった。
だが中央競馬に参戦する度に勝ち星を積み重ねるその姿に
誰もが凄みを感じていた。
時には人気薄の馬を馬券圏内に持ってきて、
「どうしてこんな馬を・・・」と思わずつぶやいた人もいただろう。
その内田博幸騎手がとうとう中央のG1(Jpn1)でもやってしまったのだ。

レース直後のことである。
G1を勝った中央のジョッキー達と同じように、
ただ1頭だけ芝コースを引き揚げてウイニングランを披露する内田博幸騎手とピンクカメオ。
そんな人馬に歓声を送る府中に集まったファン達。
その様子を見ながらふと思った。
この光景、違和感は全くない。

既に数多くの外国人騎手が短期免許で来日し、
地方競馬からJRAへの移籍を果たした騎手もいる。
G1を勝つ程の名手に所属など関係ないことを
ファンも既に学んでいるということなのか?
一方でJRA生え抜きのジョッキー達の意識はどうなのだろうか?

この日の東京競馬場はG1デーとしては
スタンドにもパドックにも余裕があり、
やや盛り上がりに欠ける印象の1日でもあった。
雨の影響もあったのだが。
こうした状況下で地方競馬所属騎手が勝ったこともあり、
様々なことを考えながら
表彰式を見ていたことを覚えている。


2007年5月6日(日)
東京11R
第12回NHKマイルカップ(G1)
東京・芝1600メートル

1着7枠14番ピンクカメオ(55・内田博幸) 1分34秒3
2着5枠10番ローレルゲレイロ(57・藤田伸二) 1/2
3着8枠18番ムラマサノヨートー(57・小林淳一) 1/2
4着6枠12番シベリアンバード(57・田中勝春) 頭
5着6枠11番トーホウレーサー(57・四位洋文) 1 1/4 

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