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(重賞回顧)2005年第39回スプリンターズS~優勝馬:サイレントウィットネス~

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「この馬、強いよ・・・」

ゴールの瞬間、思わず呟いてしまった。
サイレントウィットネスが
香港の短距離路線で無敵の存在であることはもちろん知っている。
それでも距離が合わなかったとはいえ、
チャンピオンズマイルと安田記念で連敗しているのだ。
そしてレース前日には滞在中の中山競馬場で放馬したという情報まで・・・。
サイレントウィットネスはそんな不安材料を全て覆してしまったのだ。
香港競馬界における最強スプリンターの実力を思い知らされた瞬間だった。

私はこのレースを中山競馬場のゴール板前で見ていた。
その私の近くに香港から来たと思われる初老の男性がいた。
彼は興奮して大声で

「コーツィー!!コーツィー!!」

とサイレントウィットネスの手綱を取った
フェリックス・コーツィー騎手の名前を叫び続けている。
海外の舞台で自分たちの国の馬が勝つ。
誇らしい気分になるのは、日本も香港も同じなのだろう。
彼の興奮ぶりにそんな事を思った。

だが次の瞬間、
この勝利が香港の競馬ファンたちにとって
単に「誇らしい」というだけのものではないことを知る。
目の前で赤い香港の旗を掲げて振り回す一団がいる。
こんなに多くの人達が香港から中山競馬場にやってきていたとは・・・。
単に強いだけではない。
香港の競馬ファンにとって、この馬は特別な存在だったのだ。

サイレントウィットネスの中国語表記は「精英大師」。
この日、「精英大師」の文字を中山のパドックでいくつか見た。
そして場内には明らかに日本語ではない言葉が飛び交う。
香港のテレビクルーが中山に集結した香港のファンたちにインタビューする光景もあった。
その熱狂ぶりは日本の競馬ファンを明らかに上回るものだった。

このレース以降も日本のG1レースに参戦した香港馬は何頭もいる。
勝ち馬も出ている。
だがこのサイレントウィットネスの時ほど、
香港の競馬ファンが熱狂する光景を見ていない。
「精英大師」はきっと香港競馬史に残る名馬として、
香港の競馬ファンたちによって後世に語り継がれることになるのだろう。
日本でその「精英大師」の勝利に立ち会うことが出来た自分は、
きっと彼らから見ると「幸せなヤツ」ということになるに違いない。

2005年10月2日(日)
中山11R
第39回スプリンターズS(G1)
中山・芝1200メートル

1着7枠13番サイレントウィットネス(57・コーツィー) 1分7秒3
2着2枠 4番デュランダル(57・池添謙一) 1 1/4
3着6枠12番アドマイヤマックス(57・武豊) 1/2
4着7枠14番マルカキセキ(57・福永祐一) クビ
5着5枠10番キーンランドスワン(57・四位洋文) 3/4

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