[コラム]「きっかけ」が表現できていないのです
突然ですが、初めて馬券を買った時のことを覚えていますか?
-周囲の競馬好きな人にそそのかされて、「○○の単勝を1000円買っておいてください」とか言いながら、千円札とメモをその人に渡して・・・。競馬には全然興味はなかったけど、1000円出しちゃったから、結果が気になって、日曜日はテレビで競馬中継を見てしまいました・・・。-
初めて競馬場やウインズに行った時のことを覚えていますか?
-競馬好きな家族や友人、彼氏、彼女に連れられて、初めて競馬場に行きました。競馬には全然興味はなかったけど、行ってみたら意外にキレイなところで、思ったよりも若い人や女性もいて、美味しいモノもあって、驚きました・・・。-
このサイトをご覧の方で、競馬に興味のない方は恐らくいないでしょう。多くの場合、最初に競馬に興味を持ったきっかけは、こんな感じだったのではないでしょうか。
ギャンブルジャーナルにこんな記事がありました。
JRA新CMに「我慢の限界」と酷評集中!? まったく"成長しない"松坂桃李、高畑充希、土屋太鳳、柳楽優弥の「演出」にウンザリ?(ギャンブルジャーナル)
この記事にあるように、「我慢の限界」という意見がある一方で、競馬ファンの「初心者を受け入れる姿勢」が問われている、という指摘も耳にします。皆さんはどちらでしょうか?
私なりに、このCMが酷評される理由を考えてみました。そもそも、リアリティがないのです。
レースが行われるコースとパドックの違いがわからない人。
「牝馬」を「ひんば」と読むということを知らなかった人。
「オッズ」のことを「オッス!!」という挨拶だと思っていた人。
勝負服や帽色の意味がわからない人。
初心者であれば、不思議のないことなのかもしれません。でも、こういう話は多くの場合、競馬に詳しい家族や友人、彼氏、彼女が教えてくれるものです。あるいは、こうした人達に競馬場に連れられて、競馬というものに興味を持つと、自然にインターネットや書籍などで調べて覚えるものなのです。
このCMにリアリティがないのは、競馬場に足を運ぶ、あるいは競馬に興味を持つきっかけとなる「競馬に詳しい家族や友人、彼氏、彼女」が登場しない、という点ではないでしょうか。人気の役者さんたちが4人も出演しているのですから、その中の一人をそんな役割にして、その人が初心者に教える、というストーリーであれば、違和感がなかったように思えるのですが・・・。
競馬場内で右も左も分からない人同士が、何のきっかけもなく、いきなり競馬場に行ったりするでしょうか?いきなり馬券を買ったりするでしょうか?結構、敷居が高いと思いますよ。初心者競馬教室に参加するのも、勇気が必要だと思いますよ。初めて競馬場に行く、または初めて競馬に興味を持つ「きっかけ」を表現せずに、初心者が競馬場内で右往左往する話をCMとして流すから、酷評されるのではないでしょうか。
このCM、来年も続くのかなあ・・・。