[日記]本当の意味での「エージェント」が競馬界に必要なのだと思います(長文でゴメンナサイ)

突然ですが、JRAで1999年に発生した「シンコウシングラー事件」というものをご記憶でしょうか?ご存知ではない方の為に、ウィキペディアの説明記事をリンクしておきましょう。

シンコウシングラー事件(ウィキペディア)

この1999年5月16日(日)東京10R緑風Sにおいて、単勝オッズ1.9倍という断然の1番人気馬が失格になってくれたおかげで、私は馬連24,970円をゲットすることができました。そんないい想い出のおかげで、このシンコウシングラーという馬の名前は忘れることができないのですが・・・(笑)。

そんな私の馬券的中自慢はこの程度にして(笑)、本題に行きたいと思います。このシンコウシングラー事件に関して、大川慶次郎さんがこんな話をフジテレビの競馬中継でされていたことを覚えています。

「騎手のエージェント制度を取り入れて、レース当日に騎手のサポートをする人がいれば、こんな話はなくなる筈です」

今では、こうした仕事はバレットと呼ばれる人達の役割となっていることは、ご存知の方も多いでしょう。でも1999年当時、日本の競馬界で「バレット」という言葉はなかったかな?

バレット云々は別にして、大川さんが当時、「騎手のエージェント制度を取り入れるべきだ」と主張されていた理由は、こんな内容だったと記憶しています。

「騎手がレース騎乗に集中できる環境を作るべきだ」

つまり、レースで騎乗する、ということ以外に果たすべき仕事は他の人が代行した方が、その騎手の技術向上にも繋がる筈だ、という考え方です。騎乗馬を集める為の営業活動も誰かが代行し、その時間は体力トレーニングなどに充てるべきではないか、ということなのでしょう。その意味では、現在の競馬界で専門紙のトラックマンやスポーツ紙の記者が「エージェント」という別の顔で担っている役割も全く無意味ではありません。

しかし、騎手の代わりに担うべき仕事は「騎乗馬集め」だけでしょうか。例えば、地方競馬の交流競走に騎乗する際の新幹線や飛行機の手配、場合によってはホテルの手配なども代行できる人がいれば、騎手の負担は軽くなるでしょう。また、体力トレーニングができるスポーツジムや、怪我でリハビリが必要な際の施設なども、代行できる人がいれば、その騎手における環境は全く異なる筈です。

こんなケースもあるでしょう。今年9月に騎乗停止処分に対して不服申し立てをした中谷雄太騎手が、もしも裁定委員会による棄却という決定に納得できず、「裁判所に訴えたい」という意思を示した場合、こうした手続(弁護士の手配など)をサポートできる人はいるでしょうか。不服申し立てをする時点でも、「こういう主張をすべきだ」というアドバイスをする人も、本来なら必要だったのかもしれません。

今年は菊沢一樹騎手や木幡育也騎手といった、若手の騎手が不祥事で騎乗停止処分を受けた、という事例も発生しました。netkeiba.comのコメント欄などを見ると、本人の自覚不足を批判するコメントと同時に、所属している厩舎の調教師への批判もありました。確かに、騎手を育てるのは調教師の仕事です。多くの競馬ファンは、その事を常識として知っています。しかし、調教師には他の仕事もあります。多数のG1馬を手がけた調教師を「名トレーナー」として評価する人はいますが、G1ジョッキーを何人育てても「名トレーナー」と呼ばれることはありません。

テニスの錦織圭選手について語る際に、マイケル・チャン氏というコーチの存在に触れない訳にはいきません。フィギュアスケートの選手たちについての記事を読む際にも、必ず専属コーチに関する話題が登場します。競馬の世界で「コーチ」というと、あまり良くない意味になってしまう恐れがありますので(笑)、「指導者」と書くべきかもしれませんが、若手騎手の場合、調教師とは別に指導者としての役割を果たすべき立場の人が必要でしょう。武豊騎手クラスになると、そんな指導者は不要でしょうけどね(笑)。

「騎乗馬集め」「レース当日の鞍(負担重量)の管理」「遠方に遠征して騎乗する際の各種手配」そして「指導者」としての役割。本来、エージェント制度によって、騎手がレース騎乗に専念できるようにするために、周辺で整えられるべき要素は数多くある筈です。専門紙のトラックマンやスポーツ紙の記者に務まるでしょうか?彼らは「エージェント」とは呼ばれていますが、こうした役割を全て担っている人はいないでしょう。JRAでは「エージェント」ではなく、「騎乗依頼仲介者」と呼ばれているのですから、騎乗馬集め以外の仕事をトラックマンや記者が担う必要はない、と言われてしまえばそれまでですが。

しかし、本当の意味での「エージェント」は必要とされているのではないでしょうか。全てを一人で担うのは難しいですから、騎乗依頼仲介者、指導者、バレットなどが所属する組織のようなものが必要だと思います。JRAが組織化すべきか、民間で会社を立ち上げるべきか、やり方は色々とあるでしょう。騎手への取材対応やメディア出演依頼を受け付ける窓口となっている会社はありますし、芸能プロダクションにその役割を担わせている騎手もいます。でも、全てを一括して管理しているケースとなると、ほとんど実例がないような気がするのですが・・・。自分のブログやTwitterで「バレットを募集します!!」とか告知している騎手もいますしね。

一部のトラックマンや記者が「エージェント」と呼ばれて、騎乗馬集めをし、その結果としてリーディング上位騎手の顔ぶれが大きく変わったりすることもあって、「エージェント」という役割が悪者扱いされるケースが目立っています。私自身も批判的に取り上げることがあります。でも、本当の意味での「エージェント」が日本の競馬界において確立されていない現状があるから、こうした批判を招く原因となっているのではないでしょうか。JRAが主導すべきか、誰か個人が会社を立ち上げるべきか、そこまでは私にはわかりませんが、本当の意味での「エージェント」を確立することこそが必要なのではないかと、個人的に思っています。

長々と、雑多な話を書き綴ってしまいました。申し訳ありません。

記事下広告

[広告]

-・競馬論, 日記