[日記](書評)「競馬と鉄道: あの“競馬場駅”は、こうしてできた」( 交通新聞社新書)
2018/07/14
25日(水)に買った馬券の的中自慢を書いても仕方がないので(自慢できるほどの高配当ではないし・・・笑)、久しぶりの書評ということでひとつ。
テレビ東京系列「ウイニング競馬」のレース実況でお馴染みの矢野吉彦アナウンサーが、こんな本を書かれたと聞いたので、早速読んでみました。
矢野吉彦アナウンサーというと、まだインターネットが普及していなかった1990年代から、益田競馬場や中津競馬場など、関東在住の私にとっては遠い所にある地方競馬のコラムを競馬雑誌で書かれていた方なので、今回の「競馬と鉄道」というタイトルを見た時は、「競馬」と「旅」がテーマの本なのかな?と思っていました。でも、全く違いましたね。そして、非常にディープな内容が書かれています。
そうか、矢野アナって、鉄道マニアでもあったのか・・・。この本は、競馬好きの方でも楽しめますが、鉄道マニアの方もハマるのではないでしょうか。毎年、中京競馬場で「名鉄杯」という特別レースが組まれていますが、そのレース前に流れる、オリジナルファンファーレの生演奏が聞きたいから、名鉄杯の日は毎年必ず中京にいます!!という人は、是非とも読むべき1冊ではないでしょうか。その名鉄杯についても、記述がありますよ。私は鉄道マニアではないので、少々ついて行けない内容も含まれていましたが(笑)。
この本の中で、矢野アナは競馬場の最寄り駅を「競馬場駅」と定義されています。東京競馬場ならJRの府中本町駅や京王の府中競馬正門前駅(東府中駅についても本の中では触れられています)、京都競馬場なら京阪の淀駅、阪神競馬場なら阪急の仁川駅などを意味しているのではないでしょうか。今は廃止になった地方競馬の「競馬場駅」についても触れられています。
こうした駅が出来た背景や、競馬と鉄道との関係が詳細に書かれています。戦前から戦後間もない頃は、こうした駅が仮設だったこと、その当時から鉄道会社にとって「競馬客」の確保が鉄道会社にとって重要なテーマだったこと、そして今日も「競馬客」目当てのダイヤ改正など、様々なことが試みられていることが理解できるのではないでしょうか。
私のように、鉄道にそれほど詳しくない人間でも、競馬という産業が「賭け事はご法度」という国において黙認されてきた歴史、そして「黙認」から「合法化」に変わる過程などについて書かれていますので、非常に興味深く、読むことができました。そして後半には、エプソムダウンズ競馬場(イギリス)、アンギャン競馬場(フランス)、ベルモントパーク競馬場(アメリカ)など、海外の競馬場における「競馬場駅」についても書かれていますので、海外競馬好きの方も手にすることをオススメしたい1冊です。
本の中に掲載されている「競馬場駅」の写真も、面白いですよ。あの「競馬場駅」の開業当初の写真が何点か、登場します。中でも驚いたのは、東京モノレール・大井競馬場前駅の写真です。開業したばかりの頃は、こんな駅だったとは・・・。そんな写真も含まれていますので、お楽しみに!!
ところで、私がこの本を購入した書店ですが、競馬関連の書籍があるコーナーではなく、鉄道関係の書籍が並んでいるコーナーに、この本は置いてありました。「交通新聞社新書」ですからね。当然と言えば、当然なのかもしれません(笑)。「矢野アナがこんな本を出したのは知ってるけど、書店にないんだよなあ・・・」という方は、競馬のコーナーではなく、鉄道マニアの人たちが楽しめそうなコーナーで探してみることをオススメします。もちろん、インターネットで購入して頂いても結構ですが(笑)。
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