[日記]開催が取り止めとなったこの機会に、冷静になって考えてみませんか?本当に「岩手競馬は震災からの復興を象徴する存在」なのでしょうか?

ここ何年か、JRAの新しいCMを最初に見るのが箱根駅伝という正月が続いています。そして、きっと今年も川崎競馬は沿道で選手を応援する人たちに、川崎競馬をPRするチラシを配っていることでしょう(笑)。

本来なら今日から正月の岩手競馬が水沢でスタートする筈でした。本日2日(水)は金杯が行われる予定でしたが、度重なる禁止薬物問題の影響で開催が取り止めとなっています。

今年の競馬界、特に競馬を伝える立場にいる人たちは、まずこの岩手競馬の問題に向き合わなければなりません。もちろん、まだ犯人が見つかった訳ではありませんから、安易な話は出来ないのですが、それでも開催を取り止めている間に、冷静になって考えるべき話があるような気がします。

年末にこの事件に関して、岩手日報の報道をこの日記で批判しました。地方競馬が廃止に追い込まれる時、そのカギを握るのは競馬関係者やファンではなく、競馬を良く知らない人であることは、中津競馬の廃止以降に生じたドミノ倒し現象を見れば明らかです。岩手日報という新聞は、その岩手県内に住む「競馬を良く知らない人」も手にするメディアですから、その影響力は非常に大きい、と言わざるを得ません。だから、一連の禁止薬物事件と存廃問題を安易に結びつけるような報道に対しては、厳しく批判をするのが当然だと思っています。

しかし、一方で岩手競馬を存続させたい立場の人たちも、良く考えるべき点があるように思えます。「この禁止薬物問題を乗り越えて、岩手競馬を再開させるべきだ」と主張する人たちの中に、その理由としてこんな話を挙げる人がいます。

-盛岡競馬場、水沢競馬場で走る馬たちの姿を見て、東日本大震災で被災した人たちは、たくさん勇気をもらったのです。だから、こんなことで岩手競馬が廃止になってはいけないのです。-

本当にそうでしょうか?これが本当なら、復興に取り組む岩手県民が数多く読んでいる岩手日報という新聞は、どうしてその「復興の象徴」を潰すような報道を続けるのでしょうか?本当に岩手競馬が「復興の象徴」なのであれば、禁止薬物事件と存廃問題を結び付けて報道するような三流記事をタレ流すようなことはないのでは・・・?

「岩手競馬は震災からの復興を象徴する存在」というのは、競馬関係者や一部の競馬メディア、ファンの思い込みに過ぎないのでは・・・。岩手日報の報道を見ていると、そんな印象を抱かざるを得ません。今回の事件について報道する一方で、岩手県内を中心とした復興への取り組みについても、この新聞社は日々報じている筈です。同じ新聞社からの報道であることを考えると、競馬ファンだけではなく、競馬を良く知らない人も含めた岩手の人たちにとって、岩手競馬というのはどのような存在なのか、ヨソ者の私としては非常に気になるところです。

盛岡や水沢以外の競馬場で、同様の災害があり、そして同様の事件があったとしても、私はこんな指摘をすることはないでしょう。しかし、岩手競馬は存続の為に行政から巨額の融資を受け、その融資の是非を巡って県議会が紛糾し、さらに存廃問題が知事選の争点となった過去を持っています。そんな中で、地元の世論を大きく左右する新聞社があのような報道をする背景を、競馬関係者、競馬メディア関係者、競馬ファンは良く考える必要があるのかもしれません。

過去にあった岩手日報による岩手競馬関連報道の中には、関係者だけではなく、一般ファンでもすぐに「こんなのデタラメだ」と言い切れる内容のモノもありました。それでも、岩手競馬の存続に厳しい姿勢を貫く岩手日報の姿勢を見ていると、関係者やファンが気づいていない「空気」のようなものが存在しているのではないか、少々不安になります。岩手競馬に関わっている人や、応援している人は、本当に「岩手競馬は震災からの復興を象徴する存在」なのか、この機会にそれぞれの立場で考えるべきでしょう。

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-・競馬論, 日記