[コラム]アメリカの競馬って、公正だなあ・・・

1位入線馬が降着となる事態に見舞われた、今年のケンタッキーダービー。繰り上がりで1着となったカントリーハウスのF.プラ騎手による異議申し立てによる審議、という話を聞いて、2002年のジャパンカップを思い出した。

この年のジャパンカップは東京競馬場の改修工事に伴い、中山競馬場で行われた。レースは、ファルブラヴとサラファンという、外国馬2頭が激しい叩き合いを演じ、並んだまま、ゴール板を通過。その写真判定、ハナ差でファルブラヴに軍配が上がったのだが、その直後に何故か審議ランプが点灯し、中山競馬場内は騒然となった。ハナ差で敗れたサラファンの陣営がファルブラヴの進路の取り方について異議申し立てを行った為に、審議が行われることになったのだ。

審議の結果は到達順位の通りで、着順が変わることはなかった。パトロールビデオを見ても、ファルブラヴが一方的に進路妨害をしているようには見えず、双方が馬体を寄せ合い、接触してしまったように私には思えた。それでも、このジャパンカップの以前から「アメリカの競馬は、オーナー、調教師、騎手からの異議申し立てで審議、というケースがよくある」という話を聞いたことがあり、その光景を目の前で見ることが出来たことに「いいモノを見た」気分になったことを覚えている。

ところで、もし今回のケンタッキーダービーで、カントリーハウスのF.プラ騎手が異議申し立てを行わなかったら、1位入線のマキシマムセキュリティが勝っていたことになる。現地の裁決委員(に相当する立場の人)はレース直後、マキシマムセキュリティが4コーナーで外側に膨れた点について、着順を変更するほどの事象だ、とは判断していなかったのだ。これは単に「審議の結果、1位入線馬が17着に降着」という話ではない。異議申し立てがなかったら、異なる結果になっていたのである。

レース確定後、Twitterを見ていたら、こんな意見を見つけた。

「アメリカの競馬って、公正だなあ・・・」

もちろん、滅多なことで判定が覆ることがない日本の競馬は公正ではない、とは言わない。しかし、審議ランプも点灯しないし、誰も制裁を科されていないレースの後で、「前をカットされて・・・」とか「あの不利がなければ・・・」といった騎手のコメントが「週刊競馬ブック」や「週刊Gallop」に載る競馬を普段見ている日本の競馬好きから見ると、そんなアメリカの競馬が羨ましく思えてくる。

少なくとも、当事者が異議申し立てをすることで、判定が覆る競馬、というモノを日本の競馬好きが見る機会はまずない。そのことの意味をJRAや地方競馬の主催者はよく考えた方がいいような気がするのは私だけだろうか?

 

 

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