[コラム]「これでは日本の若い騎手が育たない」なんて、知ったこっちゃねえ~よ
NHKマイルカップの前から、この先のG1戦線を見据えた有力馬における鞍上を巡る報道があり、そしてインターネット上で様々な議論があり、という状況だったのですが、その騒動の主役とも言うべき立場のクリストフ・ルメール騎手がNHKマイルカップで騎乗停止という事態に・・・。当然のことながら、一度は決まった話がやり直しということになり、またその報道に議論が沸き起こり・・・。何やら競馬界は大変な騒動となっている。
どうするのだろう、ダミアン・レーン騎手が次週の競馬で騎乗停止となってしまったら・・・。冗談ではなく、レースで騎乗するということは、常にそんなリスクと隣り合わせな訳で・・・。
あまり仮定の話ばかりを書いても仕方がないので、一連の騎手起用を巡る話を少々。結局のところ、昔から議論がある「競走馬は誰のもの?」というところに行き着いてしまうのではないだろうか?「ファンのものだ!!」と言いたい人の気持ちも理解できるが、それは残念ながら綺麗事だと言わざるを得ない。先日、中山競馬場で行われたブリーズアップセールを見れば、理解できるのではないだろうか?オーナーと呼ばれる人たちが、1頭の競走馬に多額の費用を注ぎ込んでいるのである。リスクが馬券を買っているだけの競馬好きとは全く異なる。ある意味、競走馬を買うという行為は馬券以上のギャンブルなのだ。
特定の外国人騎手にばかり騎乗馬が集中していたのでは、日本の若い騎手達が育たない、という疑問も理解できる。しかし、オーナーさん達が背負うリスクとの比較で言えば、「そんなの知ったこっちゃねえ~よ」というのが実態だろう。騎手の頭数が足りなくなれば、ルールを変えて土日の2日間だけ海外から来てもらえばいい、という発想も成立するのだし・・・。
競馬という競技は、オーナー、調教師、騎手、生産者、主催者、そして馬券を買う競馬好きという、それぞれの立場が別々のベクトルを持って存在している。ある一つの立場においてプラスになる話が、別の立場から見ると不利益を被る話となる事も珍しくない。それが嫌なら「競馬なんかヤメちまえ!!」という話でしかないのである。
私も「馬券を買う競馬好き」であるから、こうした一連の流れには個人的に思うところはある。しかし、こうした面白くない話の流れも競馬なのだ、と受け止めて、この先の競馬を見続けていきたいと思う。