[コラム]いい意味でも、悪い意味でも、この2日間の主役はクリストフ・ルメール騎手だった
5日(日・祝)のNHKマイルカップ。6日(月・祝)のかしわ記念。この2つのレースには3つの共通点がある。
まず、どちらのレースにも単勝オッズ1倍台の絶対的な人気馬がいた。NHKマイルカップに出走したグランアレグリアの単勝オッズは1.5倍。かしわ記念で1番人気だったインティも1.6倍だった。
そして、この絶対的な人気馬が敗れたレースでもある。グランアレグリアは5着(4位入線)。インティは2着。どちらも自分が得意とする形の競馬にはならなかった。
3つ目の共通点は、どちらのレースも目立ってしまったのはクリストフ・ルメールという騎手だった点である。NHKマイルカップでは降着、そして騎乗停止処分という悪い面が出た。一方のかしわ記念では、絶対的な人気馬インティをゴールドドリームで差し切って見せた。
NHKマイルカップでのクリストフ・ルメール騎手は、悪夢を見たような気分だったに違いない。おかげでダービーで皐月賞馬サートゥルナーリアへ騎乗することが出来なくなってしまった。もちろん、全ての責任は騎手にあるし、批判も全て受け止めなければ、ならないのだが。
その翌日、ゴールドドリームの手綱を取る彼の心境はどのようなものだったのだろうか?「ダービーで騎乗できない」という事実はどんなに嘆いても覆ることはない。汚名返上の為、必死の想いでゴールドドリームの手綱を握っていたのだろうか?それとも、少し遅いゴールデンウィークの前に、ゴールドドリームで稼いでやろう!!という気持ちだったのか?いずれにしても、前日は結果的に悪役を演じる形となってしまったが、かしわ記念では絶対的な人気馬を破る主役になったことだけは確かなのである。
ただ、これだけは書いておかなければならない。NHKマイルカップで前が壁になり、出すところがなくなってしまったらといって、「騎乗停止を覚悟」した上で一か八かの走行妨害、という選択肢は絶対に認められるべきものではない。いわゆる「新ルール」になり、「騎手は騎乗停止になるが降着なし」という裁決が増えてから、G1などの大きなレースほど「騎乗停止を覚悟」というケースが増えているような印象を受ける。その意味で今回、グランアレグリアが降着となったのは正しいジャッジだった、と私は思う。