[コラム]東京湾カップ(船橋)の裁決に思う
8日(水)、船橋競馬場では東京ダービー(大井)の前哨戦、東京湾カップ(S3)が行われ、石崎駿騎手(船橋)騎乗のサクセッサー(船橋、2番人気)が優勝。2着に笹川翼騎手(大井)騎乗のグリードパルフェ(船橋、5番人気)、3着に真島大輔騎手(大井)騎乗のサージュ(船橋、9番人気)がそれぞれ入った。左海誠二騎手(船橋)騎乗のホールドユアハンド(浦和、1番人気)は8着、小杉亮騎手(船橋)騎乗のミスタージョイ(船橋、3番人気)は9着にそれぞれ敗れた。
ところでこのレースでは、最後の直線走路でこんな出来事があった。
2着に入ったグリードパルフェが内側に斜行し、ジョリスヴェニール(6着)の御神本訓史騎手(大井)が控えざるを得ない事態が発生した。この件で、グリードパルフェの鞍上・笹川翼騎手は戒告処分を受けている。
しかし、このパトロールビデオを見ると、
JRAの基準なら「失格・降着はないが、騎手は騎乗停止」という事例ではないだろうか。ところがこのレースで笹川翼騎手は戒告処分にはなったものの、騎乗停止にはなっていない。
JRAでの「失格・降着はないが、騎手は騎乗停止」というルールも、NHKマイルカップでクリストフ・ルメール騎手がやってしまった「騎乗停止を覚悟で・・・」という騎乗を誘発しかねない話だが、これが地方競馬では(南関東では、と書くべきかもしれないが)騎乗停止にすらならないのである。
地方からJRAに移籍した騎手、あるいはスポットでJRAのレースで騎乗することになった地方競馬所属騎手における騎乗法を巡って、物議を醸すことがある。「どちらが正しいのか」という話は別にして、こうした裁決基準ぐらいは統一することはできないのだろうか?例えば、こうしたジャッジを下す裁決委員をJRAやNAR、各地方競馬主催者などから独立した組織とし、中央も地方も同じ裁決委員が担当する、などという方法を取ることはできないのだろうか?
普段、地方競馬を中心に競馬を見ている人の中には「この程度で騎乗停止とか、ガタガタ言ってんじゃね~よ!!」と言いたい人もいるかもしれない。一方で、中央競馬ばかり見ている人なら「これで騎乗停止にならないなんて、信じられない!!」という話になるだろう。しかし、今はこの両者が交流するレースが、中央競馬にも、地方競馬にも存在することを忘れてはならない。国内で質の高いレースが数多く展開される為にも、こうした「中央と地方の違い」は少しでも無くす努力をすべきではないだろうか?
「中央と地方の違い」とは別に、「日本競馬と海外競馬の違い」も意識しなければならない昨今である。海外競馬との違いを是正するのは難解だが、「中央と地方」に関しては同じ日本国内の話である。国内の話ぐらいは、その違いの是正に向けて、関係者が努力すべきではないのだろうか。