[コラム]もし門別競馬場に芝コースがあったら・・・

かなり早い段階から一部では報じられていた、道営のハッピーグリンによる香港遠征が道営・ホッカイドウ競馬の公式サイトでも発表された。

ハッピーグリン号の海外遠征について(ホッカイドウ競馬公式サイト)

ハッピーグリンは今月26日(日)に香港・シャティン競馬場で行われる、チャンピオンズ&チャターカップ(G1、芝2400メートル)に選出されている。道営・ホッカイドウ競馬所属馬としてはコスモバルク以来の海外遠征となる。昨年のジャパンカップで7着に入っている馬であり、地方所属馬が出走可能な芝コースのレースは限られているだけに、結果はともかく、この遠征に異論があるという人は少ないだろう。

このハッピーグリンだが、地元・門別では2017年10月の北海道2歳優駿(6着)以降、一度も出走していない。芝コース向きの馬である以上、仕方がないことであり、かつてのコスモバルクも同様の競走馬生活を送っていたのだが、道営ファンとして、その辺りはどんな想いなのだろうか。

道営・ホッカイドウ競馬というところは、2歳で好成績を挙げた馬はシーズン終了後に他地区に移籍して更なる高みを目指す、というのが普通であるから、それほど気にならないという人も多いのかもしれない。南関東のクラシック戦線などは、2歳時における道営での戦績を無視して語ることができない訳で、そんなところに門別競馬場の存在価値がある、という御意見も納得できる。ハッピーグリンはまだ道営に在籍しているが、地元でその姿を見ることができない点については、同様の感覚で見守っている人もいるのかもしれない。だが、同時にこんなことを考える時がある。

現実的ではないのは百も承知である。荒唐無稽な話かもしれない。だが、道営・ホッカイドウ競馬のような、門別競馬場のような立ち位置の地方競馬は、芝コースでのレースが行われてもいいのではないだろうか。「馬産地競馬」として、2歳馬によるレースに注目が集まる競馬場であり、デビューした2歳馬たちが次の年には南関東や他の地区でダービーに挑む、という、他にはない特徴を持つ地方競馬なのだ。芝コースがあり、コスモバルクやハッピーグリンのように「芝コースでこそ」という馬がデビューする地方競馬になれば、JRAの関係者やファンの注目度も更に高まるような気がするのだが。

現在、地方競馬では盛岡競馬場に芝コースがある。だが、現在では馬産地とは言えなくなってしまった岩手と、馬産地である北海道では、その価値は全く異なる意味を持つのではないか。コスモバルクやハッピーグリンのような馬が地元のレースを叩き台にJRAや海外のレースに挑むことができる、という意味でも大きいだろうし、その前に翌年の日本ダービーやオークスを狙える2歳馬を探そう、というJRAのオーナーや調教師が増える可能性を考えても、意味のあることではないだろうか。

最後にもう一度、お断りを。門別競馬場に芝コースを作ろう、というのは現実的なアイディアではないことは私も理解している。それでも、道営・ホッカイドウ競馬が持つポテンシャルを考えると、あったら面白いのになあ・・・、とつい考えてしまうのだ。後に海外遠征ができる馬がデビューする地方競馬なのだから。

 

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