[コラム]この勝利は「運」だけではモノには出来ない~おめでとう、ロジャーバローズ!!おめでとう、浜中俊騎手!!~

皐月賞は最も速い馬が勝つ。

ダービーは最も運がいい馬が勝つ。

菊花賞は最も強い馬が勝つ。

私が競馬を始める以前から、よく言われていたフレーズだ。だがダービーの「最も運がいい・・・」という言い方が個人的にはあまり好きではない。「運」というキーワードが出てきた時点で、それまで積み上げてきたもの、それぞれの立場で苦労してきたものが、全く関係のないことにされてしまうような、そんな気がするからだ。

ダービー当日の最終レース、目黒記念が終わった後、パドックではTIMの二人と津田麻莉奈さんが司会、そしてロジャーバローズでダービーを制し、ダービージョッキーとなった浜中俊騎手もゲストとして登場する形で、レース回顧のイベントが行われた。ダービーのレース映像を見ながら、ダービーについて振り返る浜中俊騎手は、こんなことを口にした。

「レース前にいくつかのパターンでレースプランを考えたが、その中で最もこうなって欲しいという展開になってくれた。ラッキーだった。」

リオンリオンが前半1000メートルを57秒8というハイペースで飛ばし、そのリオンリオンを離れた2番手で追走する、というのは、折り合いながらの先行策が得意ではないロジャーバローズにとっては、願ってもない展開だったという。なるほど、ロジャーバローズはダービーに出走した18頭の中で最も運がいい馬だった、と言えるのかもしれない。

しかし、本当にそうだろうか?最後の直線で先頭に躍り出たロジャーバローズに外から迫ったダノンキングリーに最後まで前を譲らなかったのである。改めて映像を見ると、最後の直線でダノンキングリーは外にヨレそうになる場面があった。一方のロジャーバローズは内ラチ沿いを真っ直ぐに走っていた。あのクビ差は「運」だけで片付けられるだろうか?ロジャーバローズに実力があったからこそ、僅かクビ差とは言え、ロジャーバローズはダノンキングリーに前を譲ることなく、先頭のまま、ゴール板を通過することが出来たのではないだろうか。

浜中俊騎手は、今年のダービーにおける騎乗馬がギリギリまで決まらなかった。そんな中でようやくロジャーバローズという馬に巡り合い、今年のダービーでも騎乗することが出来た。もちろん、そこには「運」もあっただろう。だが、彼にロジャーバローズの手綱を託した人達にとっては、その判断はきっと必然であったに違いない。そして、浜中俊騎手は巡ってきたチャンスで結果を残すことが出来た。これは果たして本当に「運」だけだろうか?騎手としての実力があったからこそ、その訪れたチャンスをモノにして、ダービージョッキーの仲間入りが出来たのではないか。

どんな馬にも、どんな騎手にも、その一瞬は一生で一度しかない。その一瞬をモノに出来たか、出来なかったか、で評価が変わる。その一瞬を逃さず、モノに出来るのは実力があったからではないのか。その意味で、ロジャーバローズも、浜中俊騎手も、それぞれ「ダービー馬」「ダービージョッキー」と呼ばれるのにふさわしい実力者だった、と私は思う。

最後に、おめでとう、ロジャーバローズ!!おめでとう、浜中俊騎手!!

 

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