[コラム]名コンビだからこその勝利
キングジョージVI世&クイーンエリザベスSの映像がJRAの公式サイトで公開されてから、もう何度も繰り返して見ている。最終コーナーから直線、そしてゴール板までの間で繰り広げられた、エネイブルとクリスタルオーシャンの叩き合いを見ながら、ふとこんなことを考えた。
エネイブルの鞍上がフランキー・デットーリ騎手以外の騎手だったら、果たしてエネイブルは勝つことが出来ただろうか?
最終コーナー手前でクリスタルオーシャンが仕掛けた時、フランキー・デットーリ騎手がエネイブルにゴーサインを出さず、直線に入ってからの末脚に賭けようとしていたら、きっとエネイブルはクリスタルオーシャンを捕まえ切れなかったに違いない。同じタイミングで仕掛け、最後の直線での叩き合いに持ち込んだからこそ、エネイブルはクリスタルオーシャンに競り勝つことが出来たのではないだろうか。
勝負の世界だから、こんなタラレバは良くないのかもしれない。だが、エネイブルの鞍上があの場面で的確な判断を下すことが出来る人だったからこそ、勝つことが出来たように思えるのは私だけだろうか?クリスタルオーシャンは前走のプリンスオブウェールズSを制した際、その手綱を取っていたのがフランキー・デットーリ騎手であり、クリスタルオーシャンの背中を知っていたからこその勝利だ、という見解もあるのかもしれない。それでも、あの好判断は世界的な名手だからこそだったように私には思える。
同時にこんなことも考えた。仮にフランキー・デットーリ騎手が乗っていたとしても、エネイブル以外の馬だったら、クリスタルオーシャンに競り勝つことが出来ただろうか?恐らく、最後の直線でクリスタルオーシャンに突き放されていたに違いない。鞍上の好判断に応えることが出来たのはエネイブルだったから、と思えてならない。
これまで数多くの名馬とのコンビで世界中の競馬好きから称賛を集めてきたフランキー・デットーリ騎手だが、このエネイブルとのコンビも恐らく「名コンビ」と呼ぶにふさわしいものであるに違いない。エネイブルはこの勝利で通算成績を12戦11勝3着1回とした。フランキー・デットーリ騎手とコンビを組んでからは10連勝である。この10連勝を他の乗り役で達成するのは難しかったのではないだろうか?
凱旋門賞でこのコンビについて「負ける可能性」を考えるのは、諦めた方が無難かもしれない。いやきっと、凱旋門賞の馬券検討をする時にはこのキングジョージを見て思ったことなど忘れているのだろうけど(笑)