[日記]「ふ~ん、ジャパンカップに外国馬が来ないのか。それがどうしたの?」という人も多いのでは?
まだ競馬歴が浅かった1990年代のことでした。当時はインターネットがまだ普及しておらず、馬産地に関する情報は主に「週刊競馬ブック」から得ていた、という人は多かったのではないでしょうか。当時、「週刊競馬ブック」から伝わってくる馬産地情報の中には、「G1レースなどにおいて外国産馬や海外調教馬に対するJRAが、こうした方針に反対する生産者の人達と対立している」といった話も少なくありませんでした。
あの当時、JRAの方針に反発していた馬産地の人達(代替わりしているケースも多いかもしれませんが)は、今年のジャパンカップに外国馬の出走がない、というニュースをどう感じているのでしょうか?「ふ~ん、ジャパンカップに外国馬が来ないのか。それがどうしたの?」といった感じかもしれませんね。彼らにしてみれば、その外国馬の枠を自分たちの牧場で育った日本の馬たちが埋めれば何の問題もないでしょうし。
一方、こんな人達も「ふ~ん、ジャパンカップに外国馬が来ないのか。それがどうしたの?」と思っているかもしれません。ここ数年の間に競馬を始めた人達です。彼らは強い外国馬が参戦するジャパンカップを知りません。「ジャパンカップでは、まずカク外を消せ!!」が馬券戦術上の常識になっているかもしれません。外国馬がいなくても、あの時期に芝2400メートル戦で争われる古馬のG1があることについては、全く違和感はないでしょうし。
ジャパンカップに勝ち負けになりそうな外国馬が出走していた頃も、「日本馬との比較が難しいジャパンカップは馬券が買いにくい」という声が一部でありました。そんな意見をお持ちの方も実は「ふ~ん、ジャパンカップに外国馬が来ないのか。それがどうしたの?」なのかもしれません。
Twitterなどを見ていると、ジャパンカップに外国馬が出走しないことについて、高速馬場、検疫の問題、招致活動の問題などについて、JRAを批判する声が目に付きます。しかし、JRAという組織は国内レースの開放という問題について、こうした歴史的背景や競馬好きのニーズというものも踏まえた上で、バランス感覚が求められていることも確かでしょう。その前提を踏まえずに「外国馬が来ないのはJRAが悪い」と言っても何の意味もありません。
問題はJRAが来年以降、このジャパンカップというレースをどういう位置付けにするのか、明確なビジョンを示すことではないでしょうか?
あくまで世界最高水準のレースとして、世界中の注目を集めようとするのか?
あるいは天皇賞・秋と有馬記念の間にある、中長距離戦線のG1レースという位置付けで十分だ、と考えるのか?
全ての議論は、JRAがそのビジョンを示してからでなければ、何の意味もないように思えます。
私自身は、外国馬が勝ったジャパンカップを生で何度か見ていますし、東京競馬場に外国馬の公開調教を見に行ったこともあります(このサイトに現地レポートをアップしたこともありました)。だからこそ、外国馬がいないジャパンカップというのは物足りない印象はあります。また、香港情勢が不透明な時に、リスク回避的に香港ではなく日本のジャパンカップを、という選択を海外調教馬の関係者にしてもらえない点は寂しい気分ではあります。
しかし、これは恐らく私・菅野の感情論に過ぎないのでしょう。だから、この感情論を基にして、この問題を語るのは避けたいと思います。