[日記]笠松競馬・第三者委員会報告書に思う~前編:S騎手の「不自然な騎乗を求められた」という証言を見過ごすことは出来ません~
本日は、自宅アパートで日記を書いております。例の外出先には行っておりません。
4月1日ですが、エイプリルフールのネタを考える気分ではありません。笠松競馬からこんな発表がありました。
第三者委員会からの報告書の受理について(笠松競馬公式サイト)
このページの下に、第三者委員会からの報告書をダウンロード出来るリンクがあります。報告書を何度も読みました。そしてTwitter等での反応を見ていて、少々気になる点がありましたので、指摘したいと思います。
なお、この件で本日は日記を2本更新します。まずは前編ということで。
報告書を読んで、まず驚いたのは、21ページにあるこの記述です。少し長いですが、大事なポイントだと思われますので、そのまま引用します。
-競馬レースの開催期間中、騎手らは、公正を期すために外部からの連絡を絶って生活をしなければならない。笠松競馬場においても同様であり 騎手らはレース開催期間中、場内に設けられた調整ルームで過ごしていた。調整ルームの使用にあっては、夜間の外出禁止、携帯電話の持ち込み禁止といった規則が設けられていた 。
しかし、規則に従った厳格な取り締りはされておらず、騎手らは調整ルーム内に携帯電話を容易に持ち込めていた。規則上、調整ルームに入る際は携帯電話を預けなければならないが、その実施方法は、騎手らが舎監に自主的に申告して 預ける、というものであり、手荷物検査や外部からの差し入れの検査は行われていなかった。
また、騎手らのほとんどの人が預けていなかった 、という証言や、攻め馬の日程調整のために調整ルームにいるはずの騎手に電話をかけたところ、普通に繋がったのでおかしいと思った旨のきゅう務員による証言があった。-
公営競技として、考えられないほど、騎手が所有する携帯電話に対するチェックが甘いと言わざるを得ません。そんな公営競技場があることに驚かされます。そんな監視体制の甘い競馬場なら、厩舎関係者の馬券購入も容易だったに違いありません。
そして、この29~30ページにある「S騎手」(アルファベットは騎手のイニシャルとは無関係だと思われます)の証言は、公営競技として絶対に見過ごしてはならない、と私は思います。
-S騎手は、平成26年ころ、J元調教師から、不自然な騎乗を求められたことがあった。S騎手としては、もともと着順に絡まないような馬だったので、不自然な騎乗をしたとの認識はないが、そのレースの後、L元騎手ないしM元騎手から、1万~2万円を受領した。
S騎手は2~3回、渡される金員を情報提供や、不自然な指示に対する報酬との認識はなかったが、彼らに求められるまま、これらの供与される金員を受領した。しかし 、何もしていないのに金員をもらうのはおかしいと思い、同人らから供与される金員の受領を拒否した。
その後、L元騎手ないしM元騎手から金員の供与をされることがなくなった。-
このS騎手の証言は、非常に重要であると思います。「不自然な騎乗を求められた」と証言しているのです。今回の笠松に限らず、厩舎関係者による馬券購入問題が浮上する度に、「馬券を買っていたとしても、騎手が着順に影響を与えるような騎乗を求められる訳がない」と主張する人がいますが、こうした証言が出てくると、その主張は完全に説得力を失います。
S騎手はJ元調教師から求められた、不自然な騎乗をしたという認識はない、と話しているようです。報告書の30ページにあるように、不正敗退行為については確認できなかったようです。しかし、笠松競馬場は「不自然な騎乗」を騎手が求められることがある競馬場である、という点については、競馬場、公営競技場としての信頼を大きく損ねるものであると言わざるを得ません。
今回の事件で、笠松競馬の存廃問題について語る人もいますが、その視点で考えた場合、このS騎手の証言は存廃問題に大きく影響することだけは間違いないと思います。