[日記]「世を忍ぶ」という視点

古くから私のサイトをご覧頂いている方なら、私がある馬主さんから「契約エージェント」という名刺を作ってもらい、門別競馬場や盛岡競馬場、水沢競馬場の厩舎を回っていた、と書いていたことをご記憶の方もいると思います。1年、いや実質的には半年間しかやっていませんでしたけどね。今思えば、「黒歴史」と呼ぶべき時期だったような気もしますが(笑)。

私がそんなことをしていたのは2009年。当時、道営・ホッカイドウ競馬では11月に道営記念が終わり、その年のシーズンが終了すると、その翌日に門別競馬場で「トレーディングセール」という道営所属の現役馬を対象としたセールが行われており、私も契約していた馬主さんの関係者としてその場にいたことがあります。

そのセール当日、道営の調教師さんに、ある別の馬主さんを紹介されました。その時、その馬主さんと競馬に関する色々な話をしたのですが、その馬主さんがこんな話をされていたことを覚えています。

その馬主さんは都内にある中小企業の社長さんです。その方の所有馬たちは、今も全国の地方競馬で走っています。ですが、その馬たちの名義はその馬主さんの名前にはなっておらず、その馬主さんが別に立ち上げた法人の名義になっています。そのような形にした理由について、その馬主さんはこう話されていました。

「実は私、(経営している会社の)若い従業員たちに、若い時はギャンブルなんかしないで仕事に専念しろ、と日頃教えているんですよ。その私が馬を持っていたら、おかしいじゃないですか。だから、彼らにはわからないように法人の名義にしているのですよ」

競馬だって、こんな感じなのです。「馬たちが競い合う姿は美しい」という話を競馬産業がどんなに世間に浸透させようと努めても、現実にはこうして世を忍ぶための工夫を強いられているのです。

競馬や競輪、競艇、オートレースはもちろん、宝くじなどには、それぞれに社会的な意義があります。でも一方で、社会において「無くてはならないもの」ではありません。だから「世を忍ぶために何をすべきか?」という視点も常に忘れてはいけないのです。それはこれから参入するカジノだって同じことです。政治家さんたちは手柄や利権が欲しいですから、どうしても前のめりになります。だからこそ、実際に運営する業界団体は「世を忍ぶ」ということを常に意識しなければ、ならない筈なのです。反対派の揚げ足取りをしても何にもならないのです。

などと書いてみましたが、私も地方競馬の存廃問題についてアレコレと書いていた時は、そんな偉そうなことを言えないような行動を取っていたような気がします。どうしても忘れがちになるのですよ、「世を忍ぶ」存在であるということが・・・。ここ何日か、カジノ関連の動向についてアレコレと書いていますが、そんな自分の反省も踏まえての話である、ということも一応書いておこうと思います。

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