なかなか更新できなくて、申し訳ありません。
福山競馬の当たらない予想ブログと化してしまってますね(笑)。
下手くそな予想ばかりも何なので、
昨年7月に福山に行った時に、ふと思った話を少々。
まずはこの写真をご覧ください。
レース中のように見えるかもしれませんが、
これはゲート試験です。
私が足を運んだ日、
最終レース終了後に800メートル、1600メートルのレースが行われる
2コーナー奥のポケット地点でゲート試験が行われました。
この写真はスタート地点に近い厩舎棟から撮影したものです。
ある馬主さんに特別に入れて頂きました。
(スタンドでも一般公開されていたようです)
試験を受けた馬は7~8頭いたと記憶しています。
「実戦並み」と言っても
言い過ぎにはならないレベルでした。
ファンファーレとともに各馬がゲートに入り、
一定時間そのゲートの中で動かず、
大人しくしていられるかをチェック、
その後、ゲートが開いて発馬状況をチェック。
これを2回繰り返します。
(JRAでも、他地区の地方競馬でも、
ほぼ同じだと思いますが・・・)
2度目のゲートを出た後の馬は追われることなく、
止まるのを待って、
そのまま厩舎に引き揚げるもの、と思っていました。
私が勝手にそう思い込んでいた訳ではなく、
周りにいた厩務員さんたちもそう思っていた様子でした。
ところがその厩務員さんの一人が、
「あれっ、アイツ追い出した!!」と叫びました。
騎乗していた騎手の一人が、
そのまま馬を追い出したのです。
その様子を見て、
他の騎手も馬を追い出し、
ゲート試験は突然「ダート800メートル」のレースに変更。
ゴール前まで実戦と変わらない追い比べが展開されました。
別にそのまま流して帰ってきても構わないのに、
何故「レース」になってしまったのか。
「過保護だ」と言われるかもしれませんが、
レースでも、調教でもない場所で追うことで、
脚元への負担が増す馬もいる筈なのに・・・。
スタンドでこのゲート試験の様子を見ているファンがいましたので、
「ファンサービス」の意味もあったのか?
私はふとその時、ある事を思い出していました。
かつて高崎競馬が廃止になった頃、
「存続」を主張していた調教師さんたちの
「新高崎」構想を応援していた時期がありました。
トレセンでの競馬再開を主張していた調教師さんたちは
そのトレセンで「模擬レース」を開催。
私もその様子を見に行きました。
その時、とても印象的だった事があります。
調教師、騎手、厩務員・・・、こうした立場の人たちが、
とても嬉しそうにその「模擬レース」に参加していたのです。
「存続」を主張してシンポジウムに参加していた時や、
「廃止」の日に彼らが競馬場で見せた表情とは全く違い、
たくさんの「笑顔」が溢れていました。
地方競馬に集まってくる馬たちは、
中央競馬に比べて、
血統等の面で恵まれたレベルの馬が入ってくるとは言い難い。
中にはその中央や地方でもレベルの高い南関東などで、
勝てなかった馬たちもやってくる。
中には生まつき骨格に問題があったり、
などという馬もいたりします。
でもそんな馬たちを自分たちの手で調教し直して強くする。
こうして調教した馬を、
他の厩舎で同様に調教された馬たちと競い合わせる。
何とかヨソの厩舎の馬に勝ちたい。
だから調教を工夫する。
そんな日々の繰り返しが楽しい。
こうした人たちが調教師であり、騎手であり、厩務員であって、
このような人たちによって「競馬」というものが成立する。
そんな「競馬」が大好きな人たちが集まって、
当時の「高崎競馬」が成立していたことを
その「模擬レース」で再認識したことを覚えています。
存続を訴えるシンポジウムには、
私も当時、パネラーとして参加していたのですが、
そのシンポジウム終了直後、
私を誘ってくださった調教師さんがこんな事をつぶやいたのを
覚えています。
「もっと競馬をやりたいな」
私が「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」で佳作を頂いた作品は、
この調教師さんのつぶやきをエッセイにしたものだったのですが・・・。
私が福山で見た最終レース後の「ダート800メートル」戦にも
全く同じ雰囲気を感じました。
別に先頭でゴールしても賞金が出る訳でもないのに、
それでも「レース」をしてしまった福山のジョッキー達。
「職業」だとか、そんなものとは全く異なるところで、
彼らが「競馬」を愛しているその様子を見ることができたような、
そんな気がしました。
それぞれのホースマンたちが鍛え上げた馬を
レースで戦わせる。
それが「競馬」の原点であることは間違いのないところでしょう。
でも普段、「競馬」を見ていると、
何故か、その原点を忘れてしまいそうになるのですが・・・。
そんな事を思い出させてくれるのはいつも地方競馬だったりします。
それぞれの馬がそれぞれの過去、不安材料を背負いながら、
それでも「戦い」の為に人々の様々な工夫が施され、
こうして「戦い」の場に送られた結果を、
見届けることができるのだから・・・。
だから、私は地方競馬を応援し続けているのです。
今回の「第7回WEEKEND DREAM盃」も
そんな「競馬」の原点を再認識しつつ、
競馬場で、インターネット中継で、
ご覧頂ければ幸いです。