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(コラム)馬券が熱いから、福山競馬も熱いのです

第7回WEEKEND DREAM盃翌日の3日(日)、
大雪で東京へ戻る交通機関に乱れが生じていた為、
椿賞の表彰式を見た後は、
最終レースの馬券をオッズパークで買って、
レースは見ずにタクシー乗り場へ。
しかし一番前に止まっていたタクシーの
運転席には誰もいない・・・。
後ろのタクシーの運転手が、

「お~い、お客さんだよ」

と大声で叫ぶ。
私が乗るタクシーの運転手さんは、
外向き発売所で最終レースの馬券を買っていた。

「すみません。最終レースの馬券を買っていたもので。」

と謝る運転手さんに、私は、

「いいんですよ。競馬好きとしてあるべき姿じゃないですか。」

と笑いながら応じた。
カーラジオでは、
エフエム福山レディオBINGO「うまうまサウンドステーション」が
流れている。
助手席には赤ペンで色々書き込まれている「福山エース」が・・・。
この運転手さん、土日の福山競馬開催日はこうして
仕事の合間に馬券を買っているのだとか。
競馬場のタクシー乗り場で客待ちをしている時間はいつも
きっと専門紙に赤ペンを走らせ、
外向き発売所にマークカードを突っ込んでいるに違いない。
きっと人生で最も楽しい時間であるのだろう。

昨年の7月、そして今回と、
福山には2度訪れた。
この競馬場は不思議だ。
表彰式後の挨拶でも述べたが、
とにかく活気がある。
競馬場の大きさ、スタンドの綺麗さなら、
この福山よりも上回っている地方の競馬場は
他地区にいくらでもある。
でも競馬場に集まる人の熱気は他地区にヒケを取らない、
いや、それ以上のものを感じる。

第7回WEEKEND DREAM盃当日のパドックの写真である。

福山競馬場パドック















この日はあいにくの雨模様。
でもスタンドの外にあるわずかな雨よけのスペースに
多くの人が身を寄せながらパドックで馬を見ている。
こんな天気の悪い日は重賞でもない限り、
場内が閑散としている。
そんな光景を他地区の地方競馬で散々見てきた。
それが当たり前のように思っていた。
しかし、この福山競馬場は少し違った。
雨の日でも多くの人が競馬場に足を運んでいる。
そして競馬を楽しんでいる。

JRの福山駅前、そして商店街、
街中に「競馬場がある街」を感じさせるものはほとんどない。
駅前場外発売所はあるがひっそりとしており、
存在感はあまりない。
駅前、そして街中に「競馬場がある街」を感じる事ができない街。
全国の地方競馬を旅していて、
そんな街をたくさん見てきた。
既に廃止になった競馬場のある街での同様の事態に、
行政、主催者の怠慢ぶりを批判した事もある。
福山も状況は似ている。
だが、競馬場の活気は全然違う。

前述のタクシーの運転手さんは語る。

「中央や南関東なんかと違って、
10頭立てなのになかなか当たらない。
難しいですね、福山の馬券って。」

福山競馬の馬券は難しい。
そう言えば、場内でもそんな事を語るオヤジさんたちが、
結構多かった気がする。
このブログを立ち上げてから、
開催日のメインレースの予想を公開し続けてきたが、
なかなか当たらず、随分恥ずかしい想いをした。
本当に福山の馬券は難しい。

馬券が難しい。
新聞の印の通りの結果にならないせいもある。
でもネットで馬券を買っている時の私は、
その新聞の印を見ていない。
馬券は近走成績を見て判断することになる。
その近走成績さえ、アテにならない時がある。
この馬、こんな脚が使えるなんて・・・、
という驚きと落胆を何度経験したことか。

印のない馬、
つまり近走成績から評価が低かった馬が激走する。
それはその馬の関係者が巻き返しを図るべく調教を工夫し、
騎手も考えながら騎乗した結果であろう。
そのレースにどんなに強い馬がいても、
何とかその馬を負かすべく、様々な工夫を凝らす。
その結果が予想外の高配当馬券を生む。

本当はどこの競馬場でも同じことが行われている筈なのだ。
でもなかなか形になって表れない。
その理由はあえて書かない。
だが、形として見える福山は
それ故に馬券で熱くなれるのである。
アラブのレースも終焉を迎える日が近くなっている。
代わりに導入したサラのレベルも、まだ高いとは言えない。
でもこの難しくて、そして面白い馬券があるから、
競馬場に人が集まる。
そして活気に満ち溢れる。
本当はごく「当たり前の事」であるに違いない。
でもその「当たり前の事」が、
中央も、地方も意外に「当たり前の事」になっていない。
「空飛ぶサラブレッド」とやらが出てくると、
ゲートが開く前から他の馬の陣営が白旗を挙げてしまう競馬を
つい最近まで見せられてきた私には、
そんな「当たり前の事」が何故か新鮮に思えてきた。
人気のない馬が勝っても「KY」とかいう奴が誰もいない競馬。
だから馬券が熱くなる。
競馬そのものも熱くなる。
専門紙「福山キンキ」の1面に
「ゴッド岡本の熱血馬券道」というコラムがある。
3日(日)付のコラムの一部をご紹介する。

―カープの黒田がメジャーリーグへ、
高校生ゴルファー石川がプロへ。
彼らの行動力は羨ましい限りですね。
でも我々にも自分の思いを少ないお金で託せるものがあります。
それが馬券です。―

「馬券で熱くなれる競馬」
そんな競馬こそが地方競馬を、そして日本の競馬界を救う。
福山でそんな事を実感しました。
「競馬」が熱い馬券を提供するために、
「競馬」は何をしなければならないのか?
主催者は?
馬主は?
厩舎関係者は?
競馬メディアは?
そして私は?
福山で新たな課題が見つかったような、
そんな気持ちで一杯である。

さて、当ブログはこのエントリーを最後に
全ての更新作業を終了します。
予想などは今後は
「WEEKEND DREAM」内の掲示板など、
別のコンテンツで中央や他の地方競馬などと一緒に
お伝えしていくことになるかと思います。
約2か月間という短い期間でしたが、
アクセスしてくださった皆さん、
ありがとうございました。
また、第7回WEEKEND DREAM盃の馬券を買ってくださった皆さん、
競馬場、場外発売所、インターネットで、
レースを見てくださった皆さんにも厚く御礼申し上げます。
そしてもちろん、
予想イベントに参加してくださった皆さんにも感謝しております。
WEEKEND DREAMの協賛レースは、
今後も全国の様々な地方競馬で続けていこうと思っています。
次はどこになるか、まだ分かりませんが、
また次の開催地の競馬を、
このような形でご紹介していければ、と考えています。
その際はまたご注目頂けるよう、
よろしくお願い申し上げます。

2008年2月11日 06:04に投稿されたエントリーのページです。

私・KANKANのプロフィール

本名:菅野一郎
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」
において、佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、
「競馬の未来」を語ります。

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